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田口壮氏 日ハム・大谷&中田、広島・菊池のMLB挑戦に期待

MLB時代を振り返る田口壮氏

 野茂英雄氏がメジャーリーガーとしてL.A.ドジャースで活躍してから20年。今や日本人メジャーリーガーは通算50人を超える。

 その中でも、華やかなイチローや松井秀喜氏らと違い、玄人好みで「いぶし銀」の印象があるのが田口壮氏だ。しかし、ワールドチャンピオンリングを2つも持つ日本人は井口資仁選手(現千葉ロッテマリーンズ)と彼しかいない。

 オリックス・ブルーウェーブ(当時)で活躍した田口氏は2002年、FA権を行使してセントルイス・カージナルスと契約するもマイナーリーグで開幕を迎えた。

「10時間近いバス移動や夜間・早朝に一般客に交じってエコノミークラスで飛行機を乗り継ぐのはザラ。食事はファストフードのうえ通訳もいなかったので、サブウェイやマクドナルドで注文するのも一苦労でした」

 そんな逆境にもめげず、パワーが段違いのMLBで「チームのために何ができるか」をひたすら追求した。その結果、3年目からメジャーに定着。2006年にはデトロイト・タイガースとのワールドシリーズに出場した。

 田口氏が「人生で一番緊張した」と語るのは、2勝1敗で迎えたホームの第4戦、1点ビハインドの7回裏・無死二塁という絶好機だ。名将トニー・ラルーサはここで「バッター・タグチ」とコールした。

「体の大きい左打者に代わって僕が打席に入り、球場全体が『送りバントだ』とわかっていた。プレッシャーに手が震えましたが、誰よりも準備していたので普段通りやれば成功すると信じていました。ボールが指に当たって骨折しても知らん顔で一塁に走るつもりでした」

 スタジアムが極度の緊張感に包まれるなか、見事にバント成功。さらにこのプレーが野手のエラーを誘い、逆転勝利を呼び込んだ。自らの役割をきっちり果たした田口氏の手は塁上で震えていたという。

 波に乗ったチームは第5戦も勝利。ライトから歓喜の瞬間を見届けた田口氏は、ワールドチャンピオンだけに贈られるチャンピオンリングを手に入れた。

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