芸能

『きょうの料理』P 15分間「塩むすび」放送した伝説回語る

『きょうの料理』のスタジオでの撮影風景

 今年で59年目を迎える『きょうの料理』(NHK・Eテレ)。料理番組の老舗はどのように新しい番組を作り続けているのか。その裏側をシニアプロデューサーの大野敏明氏さんに聞いた。

――『きょうの料理』ならではのこだわりを教えてください。

大野:昭和32年からやっているNHKの看板的料理番組なので、信頼が第一だと思っています。そのためにはまず、間違いがあってはならない。そして『きょうの料理』なら大丈夫、と思ってくださるようなレシピを出さないといけません。レシピは毎回、キャリア豊富な先生方に考えてもらっていますが、案をいただいてからは専門のスタッフが何度も試作をして、ちゃんと味をチェックしています。企画から放送まで半年くらいかけているので、「レシピ通りに作れば絶対に間違いない!」ということは自信を持って言えますね。

――準備期間が半年っていうのは、ちょっとびっくりですね。

大野:レシピをしっかり作り込むというのはもちろん、テキストも同時に作っているので、進行はスピーディーです。夏頃にはもう、来年のおせちのことを考えていますよ。

――おせちの回はいつも華やかです。

大野:見てくださる方もおせちは勝負なんです。年に1回なので失敗できませんよね。以前、1年間のおさらいということで、肉じゃがやコロッケなどのおふくろの味の定番どころを集めた企画をやりましたが、それはとても好評でした。

――企画会議はどのくらいの頻度で行っていますか?

大野:企画会議は週一ですが、打ち合わせは毎日あります。多様化するニーズに合わせていろんな企画を同時に進めています。まるで企画のデパートというくらい何でも揃えていますよ。ただどんな企画であっても、「レシピ通りに作れば間違いない」というところは外さないようにしています。当然のことですけど、そこはしっかり意識しています。

――大野さんはこの番組を担当されて何年になりますかか?

大野:NHKに入って20年になりますが、『きょうの料理』の担当はデスク時代も含めて6年になります。プロデューサーになってからはまだ3年です。

――6年の間に、料理の傾向は変わりましたか?

大野:とても変わりましたね。一番は、クックパッドのようなインターネットのレシピサイトが浸透してきたことでしょうか。スマホの普及も大きいと思います。レシピをパパッと検索して、ひとつの画面で読みとれるぐらいの簡単なレシピですけど、忙しい人には便利ですよね。スマホが普及する前は、定番料理に飽き足らない人が料理の新しいアイディアを求めて見に来てくれていた感がありましたが、最近はインターネットでいくらでもアイディアを拾えます。だから原点回帰というか、昭和の時代に定番料理として食卓にのぼっていたようなおかずをきちんと作るポイントとか、おなじみの料理をひと味おいしく作るコツとか、そういったニ-ズが確実に高まっていますね。

――インターネットのレシピサイトが人気ということですが、テレビだからこそ気をつけていることはありますか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト