まずは洗い。米を水にさらして3つ数えたらザルに上げる。これをやることでヌカ臭さが取れる。次に米を洗う。強くやりすぎると大事な表皮が破れて炊いた時に旨みが流れ出るから、優しく丁寧に研ぐ。そうすればプリプリと立った米が炊ける。
僕らは仕事では本物の釜を使い、米の乾燥具合まで気にして水につける時間を調整する。家庭でそこまでやるのは難しいけれど、おすすめしたいのは地元のお米屋さんと仲良くなること。その時期にどこの産地のものがいいのか教えてもらえるし、人によっては水につける時間や炊き方を教えてくれることもある。
あとは炊飯器だとどうしても釜で炊くのと違ってパサパサ感が出るから、炊く前でも炊きあがってからでも、バターのひとかけらやサラダ油のひとさじを入れる。そうするとしっとりした炊きあがりになる。他にも炭を一緒に入れるとふわっとした仕上がりになるなど工夫の余地はある。道具を選び、一手間かけると全く違った炊きあがりになるんだ。
【プロフィール】中村孝明(なかむら・こうめい):1947年長崎県生まれ。日本を代表する老舗料亭『なだ万』で料理長を務める。1996年、フジテレビ系『料理の鉄人』で2代目・和の鉄人を担当。『なだ万』を退社後、現在は横浜の『中村孝明 貴賓館』など、3店舗を経営する。
撮影■小笠原亜人矛
※週刊ポスト2015年6月26日号