国内

作家になりたいと語っていた少年A 18歳で書いた小説の内容

「殺人体験」を描いた手記『絶歌』(太田出版)を発表し、被害者や遺族の心情を踏みにじって、高額な印税収入を得る元・酒鬼薔薇聖斗。32歳の「中年」になった彼は、少年法の匿名特権「元少年A」を名乗ったまま、自己満足の“贖罪”を果たして悦に入っているのか。

 緑の多い敷地を分厚い灰色の壁が囲んでいる。東京・府中市にある関東医療少年院。コンクリート造りの無機質な建物の一室で、色白で華奢な体格の青年がはっきりとこういった。

「僕は作家になりたい」

 2001年1月、医療少年院に講師として招かれ、少年らの授業を受け持った童話作家・森忠明氏に将来の希望を尋ねられ、当時18歳だった少年Aが答えた言葉だ。本誌2001年3月9日号『全文掲載 18歳・酒鬼薔薇が綴った「700字小説」』で明かしたエピソードである。森氏が振り返る。

「当時から際だって表現欲求が旺盛でした。ただし、私が彼に会った14年半前にはすでに彼の中にいた魔物はおらず、“抜け殻”のような印象がありました。

 たしかに私は彼に“小説を書いたらどうか”と勧め、彼はその約束を守って今回の本を書いたのかもしれません。ですが、“抜け殻”の彼が今後、歴史に名を残すような作家になれるとは思っていません。いま彼を支えているのは、“自分を表現したい”という自己顕示欲だけなのかもしれない」

 6月11日に『絶歌』が刊行された翌日、被害者遺族は「重大な二次被害を受ける」と出版社に抗議し、本の回収を申し入れ、一部の書店では販売を自粛する動きも出た。

 事件から18年。Aの手記発表により、惨劇の記憶は再び呼び覚まされた。

 1997年5月27日早朝、Aが通っていた兵庫県神戸市内の中学校正門前で、切断された児童の頭部が発見された。土師淳君(当時11歳)の口内には「酒鬼薔薇聖斗」を名乗る犯人から〈さあゲームの始まりです。(中略)ボクは殺しが愉快でたまらない〉との声明文が押し込まれていた。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン