デビット:ありますよ、個人的に飯食おうとはならないけれど。ぼくは一番下だから文句言えないですしね。
当時、結成してまもなくの頃ってコントしか練習してなかった。こんなのでいいのかなって、ずっと思っていました。ちょうどその頃、星セント・ルイスのセントさんと出会っていたので、稽古して、セントさんに見せるという日々でした。何がいいのかさっぱりわからないし。ヒロミさんについていくしかないなと思いながら。
ヒロミさんもちんさんも「辞める」って言ってましたからね、あのとき。俺だけですよ2人についていこうと思っていたのは。いつも“辞める辞めない”の話をしていました。ヒロミさんはピン芸人になってもやっていけたと思いますけどね。
――ヒロミさんの今のご活躍をどう思われていますか?
デビット:俺は嬉しいですね。でも、個人的に飯食おうとはならない(笑い)。気持ち悪い。だって29年も一緒にいるんだよ。もういいですよ。アパートで一緒に暮らしてたのよ。今はメールもない。うちらすごいドライなの、昔から。
――それは、つきあってないんじゃないですか?
デビット:じゃあ、つきあいはないかもしれない(笑い)。でも仲は悪くないですよ。仕事がかぶらないだけでね。
――そうして芸人として登り詰めた芸能界を離れて、ラーメン店に専念するわけですが、なぜまた芸能界に戻ることに?
デビット:いかりや長介さんが、ぼくが経営するラーメン店に突然来たんです。当時ぼくは、足のけがをして足がほとんど動かなくなっていたんですが、そのときはちょっと足が動くようになった時期で。フラッと来たから、なんですかって。「ラーメン屋もいいけど、芸能界はどうだ?」って言われて。「戻る意思はありますけど、今すぐという形にはならないと思います」と答えました。
ただ、ぼくが大きく揺さぶられたのは、いかりやさんが「上に噛みついたり、俺はこうだって言えるような奴が少なくなっているから、お前みたいなヤンチャな奴が下を支えてあげなさい。それならやれるだろ」って。あの人シャイだから、店の裏手で、話し終わったら「じゃ」って帰りました。そんなことがあって、しばらくいかりやさんに付くことになったんです。
――いかりやさんから教わったことはありますか?
デビット:あの人、背中を見せる人だったので、何も言わないんですよ。でも朝5時まで飲んでいても、朝7時からの15ページくらいの台本の長いシーンをワーッと完璧に言ったりしますから。敵わないですよね、当時70才でそれやられたら。
――いかりやさんの最期を看取ってらっしゃるそうですけど、お墓参りに行かれたりは?