一方でウルトラCも検討されている。初代司会者・立川談志の遺志を甦らせる立川流からの大抜擢だ。実現すれば、談志が司会を降りてから46年ぶりの立川流の復活劇となる。名前が挙がっているのは立川流を背負う志の輔、談春といったスター落語家らだ。
「話題性は十分で新たなファン層も獲得できるので局としては魅力的な人選。ただし番組と疎遠になって久しい立川流の噺家がうまく仕切れるのか。不安のほうが大きく、あくまで“大穴”扱いです」(前出・日テレ関係者)
名前の挙がった当事者たちに訊ねた。談春は「外部の人間が何かしゃべるのは非礼に当たる」と本人が取材を断わり、志の輔の事務所は「そんな(司会者の)話が回ってくることはないでしょう」と話した。本命視された円楽も、事務所を通じ「そのような事実はない」と回答した。
では、対抗の小遊三はどうか。本人を直撃すると、「オファーは届いていないよ(笑い)。歌丸師匠が死んでもないのに次は誰だなんて、そんな不謹慎なことは口が裂けてもいえないでしょ!」と苦笑いした。
日テレは「歌丸師匠を中心にさらに皆様に支持される『笑点』を制作していく」(広報部)と回答するのみ。
自身もかつて大喜利メンバーで、現在は落語協会・最高顧問の鈴々舎馬風(れいれいしゃ・ばふう)はこう話す。
「やっぱり『笑点』は桂歌丸が司会を務めないとまだまだダメだと思うね。だって“歌さん”ほど機転が利いて、言葉に力を持った人間は現メンバーの中にもいないんだもの。
候補に挙がっている面々も“自分のほうがうまく司会をやれる”なんて思っている奴はいないはず。国民的番組なんだから、本当は後継者選びはちゃんとしなくちゃいけないんだけどねぇ……」
動き始めた“歌丸の座布団”を巡る争奪戦。歌丸から「ハイ、オレの座布団あげて!」の声が掛かるのは誰か。
※週刊ポスト2015年8月21・28日号