──なるほど。白紙撤回も結構すんなり決まったし…。
高須:そうそう。「新国立の事業がなくなった、ウチの会社が潰れてしまう!」って白紙撤回に反対する人がいてもおかしくないんだけど、サラッと決定したもんね。白紙撤回までの展開も、かなり盛り上がっていたしなあ。いずれにしろ、安保法案との絡め方は、本当にうまかった。単なる結果論なのかもしれないけど、絶妙なシナリオだったね。
──ちなみに、高須院長はどんな新国立競技場がふさわしいと思いますか?
高須:そもそものことをいうと、古い国立競技場を残して、改修すべきだったと思うよ。歴史的建造物としても価値が高まるだろうし。結局、屋根付きの新国立が作れないんだったら、古いままのほうが絶対よかった。
もっというと、近代オリンピックは、ギリシャで開催されていた古代オリンピックをもとにクーベルタンが提唱して始まったものでしょ。だったら、ずっとギリシャで開催し続ければいいと思うんだよ。そうすれば、ギリシャの財政も立ち直るし、一挙両得だよ。
オリンピックは「参加することに意義がある」っていう言葉もあるくらいなんだから、開催地は関係ないはず。どうしても、いろんな国の持ち回りにしたいのであれば、開催地はアテネでもホスト国をいろんな国にすればいいだけの話。4年に1度でもなく、毎年開催してしまえばいい。絶対誰も文句言わないと思うんだけどなあ。
* * *
新国立競技場問題の背景には、安倍政権の安保法案成立と支持率下げ止めに対する思惑があったという高須院長の説だが、それがもし本当なら、ピエロ役となった森元首相はたしかに稀代の役者といえるかもしれない。そして、オリンピック開催地ギリシャ固定案もまた妙案といえそうだ。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。