スポーツ

廃部危機のPL野球部 大人に頼らず部員の間だけに芽生えた絆

 甲子園春夏7度制覇、通算96勝を誇るPL学園野球部が廃部の危機に瀕している。新チームとしてスタートを切った2年生は高校野球史に燦然と輝く実績校らしからぬ「普通の高校生たち」で、秋季近畿地区大会大阪府予選は1回戦で敗れ、来春のセンバツ出場も絶望的となった。名門野球部「最後の部員」となるとされる新チームの船出を、ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 もし、練習試合を戦っている彼らが無地の練習用ユニフォームを着ていたら、全国制覇7度を誇る名門校の野球部員には到底見えないだろう。
 
 背は低く、体の線も細い。誤解を恐れずにいえば、どこにでもいる普通の高校球児である。しかし彼らの胸には高校野球ファンにはお馴染みの「PL GAKUEN」のロゴが二列で並ぶ。
 
「僕ら61期生と比べれば、体が小さい選手が多いですし、中学時代の実績もない。この夏にベンチ入りした選手は1 人しかいません。実力は……PLの歴史でも、大きく劣ると思います。ただ、高校野球は戦ってみないとわかりませんから」
 
 証言するのは、この夏に引退するまで主力だった3年生のA君である。夏の大阪大会準々決勝で敗れたPL学園野球部は8月2日に3年生が引退し、その後、わずか12人の2年生部員だけで新チームをスタートさせた。A君が続ける。
 
「来年も新入部員を募集しないと発表されていますから、このままだと今の2年生(62期生)が最後の野球部員となります。その中には、急性リンパ性白血病で長い入院生活を送ったために留年した同い年の土井塁人もいます。あいつはこの夏ベンチ入りしましたが、これからは高野連の規定で試合には出場できません。なので、たった11人で試合を戦うことになります」
 
 A君が入学する直前の2013年2月に、野球部内での暴力事件が発覚し、当時の河野有道監督が辞任。臨時措置として野球経験のない正井一真校長(当時)が監督に就任した(今年の春から草野裕樹校長に交代)。

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン