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延命治療をやめた重度認知症96歳女性 死の直前に周囲にお礼

 苦痛に苛まれることなく、安らかに逝きたい──これは万人に共通する考えだろう。にもかかわらず、日本では無為な延命治療で苦しみながら死ぬ終末期医療がまかり通っている。

 その弊害はもはや看過できなくなっている。患者の意に反した終末期医療の実態とはどういうものか。医療関係者を取材すると、日本の少なくない病院や高齢者施設で「苦痛にのたうち回る患者の姿」が日常的に目撃されていることがわかった。

 寝たきりになったほとんどの患者は自分で寝返りが打てないため、皮膚の血流が途絶え、床ずれ(褥瘡)ができる。点滴や経管栄養の管を抜かないよう両手を縛られるケースも多い。寝たきり期間が長くなると、患者の関節は曲がったままで伸びなくなる。一度固まった関節を無理に動かそうとすれば全身に激痛が走る。

 痰がたまっても自分で吐き出すことができず、窒息を避けるため気管を切開してチューブを挿入し痰の吸引が行なわれる。この時、意識の有無を問わず、ほぼ全ての患者が「苦しみにのたうつ」と関係者は口を揃える。

 延命治療をやめたことで「穏やかな死」を迎えられるようになったと話す医療関係者は多い。『欧米に寝たきり老人はいない』(中央公論新社刊)の著者で、「高齢者の終末期医療を考える会」代表を務める、桜台明日佳病院・認知症総合支援センター長の宮本礼子氏は語る。

「胃ろうや点滴などの延命措置をしないことで眠るように安らかに亡くなります。それを裏付ける研究もあります。動物を脱水や飢餓状態にすると脳内麻薬の一種である『β―エンドルフィン』や肝臓で生成され脳の栄養源ともなる『ケトン体』という脂肪酸の代謝産物が増えます。これらに鎮痛・鎮静作用があることがわかっており、延命措置をしない患者が穏やかに息を引き取るのは、臨終時に両成分が生成・分泌されるためと考えられています」

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