若くして大病を経験することは珍しくない。そんな時、結婚や妊娠・出産という切実な問題とどう向き合ったらいいのだろうか。29才で乳がん宣告、治るまでの6年間を治療費の実態、結婚直前の彼との手痛い失恋を含め『彼女失格 恋してるだとか、ガンだとか』(幻冬舎)に隠さず綴った、元編集者で某LCC客室乗務員の松さや香さん(38才)は、7月に結婚。出会って3回目で求婚した夫(37才)と松さんに話を聞いた。
〈出会いは今年1月。松さんの元上司が開いた新年会で、IT企業役員の夫と知り合った〉
――交際0日プロポーズだったというので驚きました。初対面から惹かれあった?
松:私も去年の今頃は、なんでひとりなのかしら。このまま死ぬのかしら。と思ってました(笑い)。人のご縁って不思議ですね。彼は離婚して数か月でしたし、最初はお互いに気軽なノリでした。編集職からLCCの客室乗務員へ転職した動機や業態の面白さだとか、“LCCは遠距離恋愛や遠距離介護の人たちを応援するためのエアラインで人と人を繋ぐ仕事は愛だ!”とかしゃべっていたら、それが面白かったみたいで。
――2月に東京でランチ、3月に関西空港近辺でディナー、ふたりで会って2回目にプロポーズ? ドラマのようです。
松:私も「マジ!?」と思いました。私は大阪、彼は東京住まいなのでLINEでやりとりしていて、そのうち電話で話しませんかと言われて。そんな中で、彼も離婚した理由やその後の理不尽な恋愛までオープンに話してくれたんです。彼がすごく誠実だからこそ、私も病気のことや前の彼とその浮気相手のことを書いた本のことを言わなきゃと思っていました。
3月に彼の出張先の神戸で会ったとき彼が、私が乗務する成田便で東京に帰ると言って、チケットと関空近くの宿を取ってくれたんです。驚きました。神戸から関空までめっちゃ遠いし、新幹線の方が絶対に早いですから。行動して示してくれたのは私にとって大きかった。でもすごくうれしいからこそ、引かれたら…と打ち明けられずにいました。
――そうしたら、彼の方から?
松:「実は本を書いたことを知っちゃって、読んじゃったんです」と。もう大ショックで。そして「いろいろ考えたんですけど、結婚しませんか」といきなり。今すぐじゃなくてもいいので結婚を前提にと言うので「なんで?」って聞いたら、「すごいと思ったから。好きになっちゃったから」。ええ~!? この本かなり尾籠なこと書いてあるぜ? あれ読んで結婚したいなんて相当イカレてる、大丈夫かしらこの人って思いました(笑い)
――でも決めたのは?
松:「僕は本に書かれているあなたというより、書いて伝えようと思ったあなたが好きなんです」って。変な人だなって思いました。でも、過去の経験も含めて自分を肯定してくれているのと同じだからやっぱりうれしかったので、お受けしました。段取りもすごく早くて、入籍までに彼と会ったのってトータルで10日くらいです。
夫:お互いに気が変わらないうちに。この人面白いな~と思って。