俳優としての美学は「何もない」と語る


佐藤:若い時に洋食屋でアルバイトをしていたこともありますし、普通に家でやってますよ。洋食は難しいからほとんどやらないけど、オイスターソースを使えば中華になるし、和食の下地だったら酒とみりんを使えばいい。プロの料理人に怒られるかもしれないけど、家でちょこちょこっとそれ風にするならいかようにでもなりますね。映画のザンギはぼくの味付け。しょうゆ、酒、みりん、それにオイスターソースをちょこっと入れてみて。そうするとちょっと変わった風味づけになるかなと思ったんです。

――若い俳優や演技経験の少ない俳優と一緒の現場では、先輩として何か働きかけをするのですか?

佐藤:そういうときもあれば、まったくしないときもあります。とくに女優さんには何も言わないですね。女優さんというのは別人種の生き物ですから(笑い)。(共演した)本田翼さんは今回のようなシリアスな役をやったことがないわけだから心配でしたよ。でも、逆に、そんな彼女がやったから良かったと思います。撮影以外で彼女とは仕事以外の話をしていました。彼女はいい意味で貪欲ではない。自然でいるタイプです。なので、彼女が鷲田完治に入りやすくする間口を作ることを心がけるようにしました。

――佐藤さんといえば、出演作品が本当に多いと思いますが、キャラクターの切り替えも大変そうですね。

佐藤:それはないですね。役になりきっていることはないので、終わった瞬間、仕事として終わります。ただ、次の作品へ行くまでは2日間くらいは休みたい。芝居を考えるということを休みたいんです。

――仕事を考えずにリラックスですか?

佐藤:はい、数日間はそうさせていただいて。何もしないですよ。ただお芝居のことを考えなければいい。会社員の方なら、仕事をしていないと不安だという方は当然いらっしゃると思います。でも、ぼく自身はそういうタイプではありません。だから、何もしなくても焦燥感はないんですね。  

――ふだんどんなことをしてリラックスされているのでしょうか?

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