振り返れば2000年代、「株主至上主義」を掲げて登場した村上氏は、阪神電気鉄道やTBS株など大企業の株を買い進め、内部留保をため込む経営陣に株主への利益還元などを求めた。ライブドア社長だった堀江貴文氏(43)らとともに、東京・六本木ヒルズを拠点にする「ヒルズ族」として脚光を浴びた。

 その一方、株主価値の向上を訴えながら株価が上昇した途端に売り抜け、莫大な利益を確定させる手法は「強欲だ」として社会的な批判を集めた。

 2006年6月、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引容疑で村上氏は逮捕された。逮捕直前の会見で報道陣に「カネ儲けは悪いことですか!」と叫んだシーンは鮮烈な印象を残した。当時、村上氏に引導を渡したのが佐々木氏だった。そして今回、復活した村上氏の行く手をまたも阻んだ構図だ。SESC関係者が明かす。

「現在、SESCには東京地検特捜部から出向してきた検察官もおり、佐々木さんが彼らの陣頭指揮を執り、地検との協力体制を支えています。村上氏がかつてと同じ手法を黒田電気に対して使ったことに佐々木さんが不快感を示していたことは、SESC内では有名な話です」

 もう1人、キーマンとして名前が挙がるのが東京地検特捜部の齋藤隆博・特捜部長だ。

「齋藤氏は村上ファンド事件やライブドア事件の際の主任検事でした。当時、齋藤氏は佐々木氏と協力し、堀江氏や村上氏を逮捕した。通常、SESCが強制調査をする場合は公訴権を持つ東京地検に事前に相談することになっており、証券界では、“今回もまた佐々木・齋藤コンビが動いているのではないか”と噂されています」(前出・伊藤氏)

※週刊ポスト2015年12月18日号

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