本誌(11月27日/12月4日号)で漫画家の小林よしのり氏が、「正妻と妾の葛藤や道徳観を正確に描くため、妾をドラマに登場させるべきだ」と訴えると、ファンの間で「いまの時代に妾の描写は要らない」「当時は当たり前だったのだから描くべきだ」など、議論が百出した。
しかし、史実のとおりとすれば、そもそも広岡浅子自身が実際には妾の子であるにもかかわらず、そのことも描かれていない。NHKは妾の描写を避ける可能性が高い。
だとすると、あさの後継はどうなっていくのか。その後継候補として浮上したのが、この藍之助なのだ。朝ドラウォッチャーの田幸和歌子氏が解説する。
「実ははつが和歌山に行く前にあさの家に泊まりに来たとき、藍之助があさのソロバンをはじいていたんですよ。それを見たはつが『ひょっとしてこの子、お商売が好きなんやろか』といっていた。それが今回の発表の布石になっています。
これからあさが商売を広げて行く上で、藍之助は彼女を助け、ゆくゆくは後継者のような存在となっていくのではないでしょうか」
彼女はそのキャスティングにも注目する。
「藍之助役を演じる森下大地さんは、新次郎役の玉木宏さんと同じ芸能事務所で注目の若手俳優。それだけでも、彼が重要な役目になることを予感させます。後継者作りの観点で見ると、新次郎と妾の子というのはイメージが崩れるため難しい。とすればゆくゆくは、藍之助があさと新次郎の養子になる、という展開もあり得るかも知れません」
実はこれにも伏線がある。藍之助が生まれてすぐの頃、新次郎の母であさの義母のよの(風吹ジュン)が藍之助と一緒に暮らしたいと申し出て、はつが断わるというくだりがあった。
そのときは親心から断わったはつだったが、大人になった藍之助の商売に対する思いを知ったとき、その考えを変える日が来るのだろうか。
※週刊ポスト2015年12月25日号