ライフ

「受験うつ」模試で見分ける方法 褒めて育てる育児に遠因も

受験で追い込みすぎないように(hamazou / PIXTA(ピクスタ))

 受験生にとってお正月は関係が無い。しかし頑張り過ぎるのも、やはり問題があるようだ。「受験うつ」について、コラムニストのオバタカズユキ氏がお勧め本を紹介する。

 * * *
 正月休みにテレビをつけてもロクな番組をやっていない、と毎年のようにボヤくことができる人は幸せだ。世間には、暮れも正月も関係ないという人がいくらでもいるのである。

 元旦営業のほうが多くなってきているスーパーマーケットや飲食チェーンなどのサービス業従事者、年越し夜勤も誰かがやらなきゃならない医師や看護師ほかの医療従事者、鉄道や道路といったインフラの現場で働く人々、運送業者、警察官もそうだ。今年は4日が月曜日なので、週明け提出物の締め切りに年末から追われているフリーランスだって少なくない。

 数え上げればきりがないほど、正月無縁で仕事に励む人はたくさんいる。各自がその役割を担ってくれているおかげで、その他の日本人は、正月だ三が日だと言っていられる。だから、彼ら彼女らに感謝をしよう、だなんて道徳めいたことを書くつもりはないが、当コラムでは休めない人たちに向けてささやかながらエールを送りたい。

 共にがんばりましょう。労働者万歳!

 そして、労働者以外にも正月休みどころではない大勢の若者たちがいる。早ければ1月中、その多くは2月中に本番がやってくる中学や高校や大学の受験生たちだ。

 それこそこの時期のテレビニュースでは、「必勝」「合格」の鉢巻を巻いて一心不乱に鉛筆を走らせる正月特訓受講中の塾生や予備校生らの様子が報じられる。一種の風物詩のようなものであるが、良識派を自認する視聴者らが「この国の受験地獄は間違っているのではないか」と眉をひそめて何かモノ申したつもりになれる題材でもある。

 遠い昔、私は中学受験塾の講師をやっていたことがあるのだけれど、ああしてみんなで暮れも正月もなく勉強漬けというのは意外に快感なのだ。正月特訓で伸びる子は、「この経験って大人になったらいい思い出だよね」くらいにはマセており、「でも、外国人がボクたちを見たらクレイジーかもね(笑)」程度には自己相対化ができている。そこには、ちょっとした選民意識も潜んでいて、その意識と実力との間にギャップがありすぎると自我肥大化して良くないが、実力が伴っていけば、受験はいい成長の機会なのである。

 受験生のうちの少なからずが、受験直前に驚くほど大人になる。塾講師たちの多くは正月特訓や冬期講習の仕事が好きで、それは目の前で子供が大人に脱皮していく様子を見ることができるからだ。「受験地獄上等!」と割り切れるやつが勝つ世界。それはそれで気持ちのいいものだ。

 もちろん、勝者がいれば敗者もいる。全力を出し切って志望校に落ちたのなら、それは必ずしも負けではないと思うが、受験に対する向き合い方を間違え、無理を重ねてボロボロにやられてしまう場合もある。正月特訓で鉢巻をしめて調子に乗っているぐらい子はまず安心だが、その波に乗れず、登塾拒否になるとやばい。

 受験に勝つだけが人生ではないので、そこから降りること自体はなんら問題ではない。でも、塾の先生のみならず、親も気づかぬままメンタル不調をこじらせる流れだけはぜひとも避けたい。

 昨年末に発売された、吉田たかよし著『受験うつ』という新書がある。その本によれば、昨今の受験生の間で、うつ病が急増しているとのことである。投薬を必要とするような従来型のうつ病とは異なる、いわゆる「新型うつ」が激増しているそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン