その結果、有意に差が出たのが、「緊張・不安」、「怒り・敵意」。いずれもかつおだし摂取後には有意に低下。しかも、総合的な気分、感情を示す指標もかつおだし摂取時に改善された。しかも、摂取後には集中力も向上したという。
同大の実験では、人間がストレスを受けた際の指標になるストレスマーカーの値や疲労感が改善されるという結果もあった。三重大学との研究でも「緊張・不安」、「怒り・敵意」、「集中力」についての改善傾向に加えて、「目の疲れ」についても言及している。
そのメカニズムなど、まだ明らかになっていないことも多い。だが、だしを口にしてほうっと一息つく、あの安らいだ気分は気のせいではない。少なくとも成分や調査結果は、正月などの落ち着いた心持ちに、だしが一役買っていることを示している。
正月を終えて、日常に戻ればそこには「緊張」「敵意」「ストレス」が待ち構えている。仕事に「集中力」が必要なのはいわずもがな。身の回りにはパソコン、タブレット、スマートフォンなど目に負担のかかるツールは山とある。
それが一杯の「だし」で改善されるとしたら――。そう考えるだけで、ちょっとほうっとした気分になる。舌の記憶に刷り込まれてさえいれば、われわれはだしを飲まずともその効果を体感できるのかもしれない。