国際情報

韓国で核武装論高まる 保有すれば一流国になれるとの発想

 北朝鮮が1月6日に「水爆実験」を強行し国際社会から批判が高まっている。そもそも北朝鮮は2003年に核拡散防止条約(NPT)からの脱退を表明し、2006年に最初の核実験を行なったが、国際社会から経済制裁を受けて国家財政は窮地に陥っている。そんな隣国を目の当たりにしながらも、韓国で核武装論が盛り上がっている。それはなぜか。韓国の国民性に精通するジャーナリストの室谷克実氏がこう話す。

「韓国人の“核を持ちたい!”との願望は今に始まった話でなく、北の動向とも関係ありません。韓国で最初に核武装論が持ちあがったのは1970年代であり、北は核保有どころか、その兆候もなかった時代です。根底にあるのは韓国が抱く大国願望だった。つまり、核を保有する国こそ一流国である、という発想です」

 無論、核を持てば世界から一目置かれるという思想は幻想にすぎない(北朝鮮がいい例だ)。それでも「核武装したい」との声が韓国内で大きなうねりとなっているのは、韓国人の持つコンプレックスが刺激されたからだという。

「今回、韓国は北の核実験の兆候情報を事前にアメリカから提供してもらえませんでした。さらに朴槿恵・大統領と中国の習近平・国家主席の電話会談も実現していない(1月12日現在)。このように大国からは冷たい扱いを受ける一方で、自分たちより“格下”と見なしていた北朝鮮が当初は水爆実験を成功させたと発表した。その屈辱感が核保有論を一気に燃え上がらせたのです」(同前)

 1月7日、与党セヌリ党の最高会議で金正薫・政策委員長が口にした次の言葉に韓国世論の本音が見える。

「中国、ロシア、そして事実上の核武装国である北朝鮮、さらにウラン濃縮を行なっている日本もいつでも核武装ができる。(北東アジアで)我々だけが核で孤立している」

 周りは皆持っているのに、どうして自分だけ――そんな悔しさを露わにしているのだ。しかし、そんな感情的な核武装論は、むしろ東アジア情勢にさらなる危機をもたらす可能性がある。ジャーナリストの惠谷治氏が指摘する。

「仮に韓国の核武装が完成すれば、北朝鮮と韓国は戦争に近づく。現在、核兵器は実際に兵器として使うのではなく戦争に対する抑止としても、その威力を発揮している。それは朝鮮半島でも同じで、これまで北は韓国との軍事力の差を核の脅威で埋めることで、危ういながらも均衡を保ってきた。

 しかし、互いに核を持つことで、北はアドバンテージを失い、韓国との軍事バランスが一気に崩れる。そうなった時、核の抑止力を失った北が暴発する可能性がある」

※週刊ポスト2016年1月29日号

トピックス

CM露出ランキングで初の1位に輝いた今田美桜(時事通信フォト)
《企業の資料を読み込んで現場に…》今田美桜が綾瀬はるかを抑えて2025年「CM露出タレントランキング」1位に輝いた理由
NEWSポストセブン
亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン
アスレジャー姿で飛行機に乗る際に咎められたそう(サラ・ブレイク・チークさんのXより)
《大きな胸でアスレジャーは禁止なの?》モデルも苦言…飛行機内での“不適切な服装”めぐり物議、米・運輸長官がドレスコードに注意喚起「パジャマの着用はやめないか」
NEWSポストセブン
(左から)小林夢果、川崎春花、阿部未悠(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫の余波》女子ゴルフ「シード権」の顔ぶれが激変も川崎春花がシード落ち…ベテランプロは「この1年は禊ということになるのでしょう」
NEWSポストセブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン