この先、現物買いが支える以上、値動きに派手さは望めないだろう。おそらく控えめに見て、2020年までには国際金価格は1700ドル台に達するようなイメージだ。そうなると、為替が1ドル=130円とした場合、円建て金価格は1グラム当たり7000円を突破する可能性も現実味を帯びてくるのだ。
そしてジリジリと下値を切り上げる展開は、毎月一定額を購入していく「純金積立」に最適の時期といえる。
ただ円建てで購入する際にはひとつ注意点がある。「有事の金」と同様、最近は安全資産として円が買われる傾向が目立つ。ギリシャや中国などの有事が浮上してくると金も円も買われ、1ドル=115円、あるいは瞬間的には110円までの円高に振れるかもしれない。すると国際金価格が上がったとしても、円高によって円建て金価格が上がらない場合も想定しておく必要があるだろう。
とはいえ、緊急避難的な「有事の円買い」こそ一過性のものであり、円建て金価格の上値が抑えられる円高局面は、むしろ安値で買えるチャンスとなる。幸い「純金積立」にはここぞという時にまとまった資金で買い増すことができる「スポット購入」という方法があり、円高局面でまとめ買いしておくことも可能だ。
難しい局面が続いてきた金市場も、いよいよ2016年からわかりやすい相場に移り変わろうとしている。そういう時だからこそ、浮かれることなく、じっくり臨みたい。
※マネーポスト2016年新春号