国内

川崎中1殺害 いわれなき母子家庭バッシングに批判も

 2015年2月20日、川崎市の多摩川河川敷の公園で、当時13才だった上村遼太くんが殺害された。上村くんは、真冬の川で泳がされ、首など43カ所を切りつけられる暴行を受けて、亡くなった。この凄惨な事件で逮捕されたのは、不良グループの18才の少年Aと、17才の少年B、Cだった。

 少年Aに対しては「懲役9年以上13年以下」という不定期判決となり少年法への議論が巻き起こっている。

 そして、上村くんの家庭環境も事件が明るみになるなかで注目されていく。隠岐諸島の西ノ島で暮らしていた上村くん。両親の離婚後、母について、川崎市へ引っ越してきたのだ。

 母子家庭という環境にも問題があったのではないかという指摘もなされたのだ。

 母子家庭を取り巻く環境は厳しく、母親の就業率は8割を超えているのに、その半数以上が“貧困”だ。働いていたとしても非正規雇用が多く、貧困から抜け出すハードルは高い。生活費を稼ぎ、子供にご飯を食べさせるのがやっとという状況だ。

 上村くんの遊び仲間や知り合いのメンバーたちには、母子家庭も多く、上村くんの母親もシングルマザーとして、上村くんたち5人のきょうだいを育てていた。西ノ島では生活保護を受給していたが、祖父母を頼ってきた川崎では、辞退したのか断られたのか、生活保護の相談に向かう姿は目撃されているものの、受給していなかった。シングルマザーとして5人の子供を育てながら朝も夜も馬車馬のように働き続けていた母は、事件直後、こんなコメントを出した。

「遼太が学校に行くよりも前に私が出勤しなければならず、また、遅い時間に帰宅するので、遼太が日中、何をしているのか充分に把握することができていませんでした」

 しかしこれが、大逆風となってしまう。犯人の残虐性とともに、母親の責任が追及されたのだ。

“子供が夜中に外出していて放置していたのか”

“あざもできていたのに気づかなかった親も悪い”

“朝まで帰らなかったのに探しもしなかった母親にも責任の一端はある”

“事件後に交際相手と歩いているのを見かけた”

 わが子を失ったばかりの母は、「シングルマザー」ゆえのいわれなき猛バッシングを受けた。

 女性セブン記者が事件のあった河川敷の公園で会った、別の14才の少年はこう言った。

「うちも母ちゃんしかいないけどさ、カミソンのことがあってからいろんなとこで、“シングルマザーの家はダメ”とか、“母ちゃんが悪い”とか言ってたじゃん。あれは違うって思った。いちばん悪いのは、殺したあの人たちでしょ。

母ちゃんしかいないから殺される可能性が高い、って変じゃない? 父親と母親がいるからいいの? だったらなんで、両親がいるAはカミソンを殺したんだよ。母親がいなかったとか、ご飯を作らないとかさ、バッカじゃないの。母親がご飯作っていたら悪いことをしない、殺されないって決まりがあるの?」

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン