――映画、ドラマ、CMと、阿部さんを見ない日はありませんが、お休みはあるんですか?
「ぬるいと嫌なんですね、ぼくは。きついほうが集中力も上がる。役柄でもそうです。“阿部さんのままでいい”と言われるとつまらない。『エヴェレスト』のような作品とか、反対にコメディーとか、難しければ難しいほど、変われるからやりやすい。高い山のほうが燃えるんですよね。自己満足かもしれないけど(と、ニッコリ)。
5月公開の是枝裕和監督の映画『海よりもまだ深く』では、これまでやったことのない、情けない、大人になりきれない男をやりますよ。それはそれでぼくにとっては高い山なんですけどね」
――想像もつかないです!
「見てくださるかたを、裏切りたくないんです。自分には“つらいからできない”と言いたくないし」
――ところで、またエヴェレストに行きたいと思いますか?
「エヴェレストの大きさから見たら、今回行ったのはまだほんの足元だと思うんです。本格的な登山はここから先なので、いつかは本格的な挑戦をしてみたいとは思いますね。登山は自分の奥底を見つめる機会であり、自分を鍛える機会だとも思いますし。でも、同時に簡単に触れてはいけない世界、まさに神の領域だと思うと、そう簡単に行ってはいけないと思う。“なぜ山に登るのか”はぼく自身の宿題になりました」
(取材・文/活動屋映子)
※女性セブン2016年3月17日号