「『好きにさせてよ』っていうのも、“自分がそういうことを言い出してまわりをあたふたさせるような人間だってことは、身内ならわかっているでしょう”、という親しみと信頼の表現だと思います。ですから、子供はそんな親の言動にまっすぐに困惑して、ジタバタと右往左往していればいい。それも親孝行のひとつのかたちなんだと思います」(内田さん)
まもなく娘婿である本木雅弘の次男は小学校に入学する。本木夫妻は、どの学校がいいのか検討中だが、もしイギリスの学校に決まったら、イギリスでの生活はさらに続く。しかし本木の中では、日本に帰国したいという思いも大きくなっているようだ。
樹木ががん治療を再開したから? 余命わずかだから? 樹木に望まれたから? 取材を進めてみて得られた証言は、そのどれでもなかった。
「日本の文化は希少な魅力があるのだから、知らないのはもったいないわね」
本木の子供たちは、海外での生活が長くなっており、日常会話では、日本語よりも先に英語が出てしまうことが少なくない。そうしたことを残念に思っている樹木の言葉が、本木の耳に残っているからだという。
実は前出の広告の文章、最初の案では《せめて美しく輝く星になりたい》だった。しかし撮影現場で、樹木が、「私なら“塵”でいいな」と言ったことから、現在の文章になった。毎日新聞のインタビューで樹木は、その意図を「だってシャバでだって、スター(星)じゃないんだから」と明かしている。
葬式はしてもしなくてもどちらでもよく、何も書き残すつもりはないという樹木。
「死んだら、ただおしまい、がいい…と言っても最期ばかりはわからない。誰も計算できないものね」
そう言って、いつものあの笑みを浮かべるのだという。
※女性セブン2016年3月17日号