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苦難のときこそ本が必要 震災時「本を読みたい」の声あがる

 本がないと落ち着かない“本の虫”であると自らいう医師の鎌田實氏は、「読書離れ」が進む時代だといわれる一方、人にとって読書は欠かせないものだという。東日本大震災のときに痛感した本の必要性を鎌田氏が解説する。

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 出版業界は冬の時代が続いている。出版科学研究所のデータによると、2014年の書籍売り上げはピーク時の1996年に比べて31%下がった7544億円(前年比4%減)。雑誌は1997年のピーク時に比べると約45%下がった8520億円(前年比5%減)。書店数も1999年のピークから比べると37%下がり、1万4000店を下回った。

 一方、公共図書館はこの10年で約400館増えて、2014年、3246館になった(日本図書館協会調べ)。だれでも平等に本を読む機会を得られる図書館の意義は大きい。新刊を出しても図書館で借りる人が多くなり、これが増刷に結びつかない要因の一つになっているというのは、ケチな議論だ。大切なのは、本の文化をどう守り、発展させていくか。図書館で借りても、電子書籍でも、本を読む習慣をいかに身に着けるかが大事なのだ。

 先日、佐賀県武雄市に講演に行った。500席のホールは人であふれた。講演会が終わった後、書籍販売とサイン会を行なったが、ほかの講演会以上に本の売れ行きがよかった。この町では本を読む習慣がついているのか、と想像した。

 武雄市には、話題の武雄市図書館がある。大手ビデオレンタルショップツタヤを運営するCCCに委託し、2014年4月にリニューアルオープンした。図書館と書店、カフェが一体となり、コーヒーを飲みながら読書し、勉強も仕事も会話もできる市民の生活施設を目指している。館長に館内を案内してもらったが、木材をふんだんに使った広々とした空間はとても気持ちがいい。

 利用者数は、市の運営時は年間25万人だったが、民間委託後の2014年には80万人になった。3倍以上の伸びである。本の貸し出し数も2011年に比べると41%増加した。

 従来、図書館というと、受験勉強をする学生たちや、リタイヤ後の高齢者たちが利用するというイメージがある。しかし、民間委託によって開館時間が長くなったことで、サラリーマンが仕事帰りに利用しやすくなった。

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