福田宮司側が主張する氷室権宮司の解雇理由は、式場の社長の立場を利用し、同社の予算から外部の企業に対し多額の貸し付けを独断で行なったというもの。しかし氷室権宮司は弁護士を通じて「不当解雇だ」という旨の内容証明を福田宮司に送付している。
東郷神社を通じて福田宮司に取材を申し込むと、「当社の人事の問題であり、取材に答える義務はない」(広報担当者)というのみ。一方の氷室権宮司に直撃すると「トラブルがあることは事実だが、自分からは何も申し上げられない」と答えた。
ただし、事は東郷神社内の問題にとどまらない。東郷神社は格式の高い「別表神社(戦前の社格に代わり神社本庁が定める特別な神社)」にあたるため、権宮司の任命権は神社ではなく、全国の神社を統括する神社本庁にあるからだ。
しかし、神社本庁は本誌の取材に「(騒動について)まったく分からない」と担当者が困惑するばかりだった。まさに「波高し」。東郷元帥は草葉の陰で何を思うか。
※週刊ポスト2016年4月29日号