国際情報

バンコク亡命中の中国人「共産党への怒りだけが生きる支え」

2014年3月、タイ南部で拘束された中国人 Reuters/AFLO

 前政権・胡錦濤時代に期待された民主化の兆候は、習近平政権の誕生で瞬く間に瓦解した。中国当局による弾圧は目を覆いたくなる。最近では東南アジアなど、国外にも張り巡らせた“密告網”により民主化を望む中国人が次々と捕らえられている。国際社会の目が届かぬ地で、中国当局は不穏の芽を摘み取っているのだ。

 ノンフィクションライター・安田峰俊氏は、当局の弾圧を受けタイに逃れた民主活動家を取材。習政権に背く者に対する凄まじい拷問の実態が明らかになった。

 * * *
「中国共産党が倒れるまで、俺は死なない」

 昨年2月27日。バイクのけたたましいエンジン音と排気ガスが吹き込むバンコクの喫茶店で、暗い表情を浮かべたまま呟く男がいた。姜野飛(ジャンイェフェイ)氏、当時47歳。現地に亡命中の中国人だった。

 四川省出身の姜氏は、かつて2008年5月に四川大地震が発生した際、法輪功(中国国内で弾圧されている新宗教団体)系メディアの取材に応じたことで公安に連行されてしまった。

 本人は法輪功の信者ではなかったにもかかわらず、睡眠すら許されず3日3晩の取り調べを受けた。上半身裸で天井から吊るされ、殴打され、電気棒による拷問も受けたという。

 火傷だらけの身体で釈放されると、姜氏は職場を解雇されていた。何度も再就職を図ったものの、いずれも公安の嫌がらせを受けてすぐにクビになった。

「その後、再び当局に呼び出された。『スパイになればお前の生活を保障してやる』というんだ」

 結果、もはや中国で生きる道はないと考えた姜氏は亡命を選んだ。ジャングルを陸路で越え、タイまで逃げたのだ。

「しかし、亡命者の立場では定職に就けず、月収は3000バーツ(約1万円)程度。現地でプロテスタント教会の仕事を手伝い、辛うじて暮らしている」

 粗末な服装に丸刈り。話す境遇に偽りはないようだ。彼は「中国共産党への怒りだけが生きる支えだ」と私に語った。

関連キーワード

トピックス

SNS上で拡散されている動画(Xより)
「“いじめ動画”関係者は始業式に不参加」「学校に一般の方が…」加害生徒の個人情報が拡散、YouTuberが自宅突撃も 県教委は「命にかかわる事態になりかねない」《栃木県》
NEWSポストセブン
女優・羽野晶紀と和泉元彌の母の節子さん(右・時事通信フォト)
《女優・羽野晶紀“嫁姑騒動”から24年目 の異変》元日に公開された和泉節子さんとの写真から伝わる「現在の距離感」
NEWSポストセブン
金屏風前での結婚会見(辻本達規Instagramより)
《慶事になぜ?》松井珠理奈の“金屏風会見”にあがる反感「わざわざ会見することもない」という声も 臨床心理士が指摘する「無意識の格付け」
NEWSポストセブン
命に別状はないとされている(TikTokより)
「クスリ漬けにされていたのでは」変わり果てた姿で発見された中国人インフルエンサー、薬物検査で陽性反応…肺感染症などの診断も【カンボジアの路上でホームレス状態で見つかる】
NEWSポストセブン
大谷翔平は何番を打つか
《どうなる? WBC侍ジャパンの打順》大谷翔平は「ドジャースと同じ1番打者」か、「前にランナーを留める3番打者」か…五十嵐亮太氏と福島良一氏が予想
週刊ポスト
杉本達治前福井県知事のセクハラ問題について調査報告書が公表された(時事通信フォト・調査報告書より)
〈体が熱くなるの〉〈スカートの中に手を…〉セクハラ1000通の杉本達治・元福井県知事が斉藤元彦・兵庫県知事と「上司・部下」の関係だった頃 2人の「共通点」とは
週刊ポスト
SNS上で拡散されている動画(Xより)
【栃木県・県立高校で暴行動画が拡散】学校の周りにインフルエンサーが殺到する事態に…県教育委は「命にかかわる状況」 弁護士は「典型的ないじめの構図」と指摘
NEWSポストセブン
中居の近影をキャッチ(2025年12月下旬)
《ゴルフ用ウェアで変装して百貨店に…》中居正広、外出頻度が増えている 表舞台では“盟友たち”が続々言及する理由
NEWSポストセブン
16年ぶりに写真集を出す皆藤愛子さん
16年ぶり写真集発売の皆藤愛子 「少し恥ずかしくなるくらいの素の姿や表情も、思い切って収めていただいています」
週刊ポスト
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
《へそ出しタトゥー美女の変わり果てた姿》中国インフルエンサー(20)がカンボジアの路上で発見、現地メディアに父親が答えた“娘と最後に連絡した日”【髪はボサボサ、うつろな表情】
NEWSポストセブン
米国によってニコラス・マドゥロ大統領が拘束された(時事通信フォト)
《大統領拘束を歓迎するベネズエラ国民の本音》「男女ともに裸にし、数日間眠らせず、窒息を繰り返させる…」国連に報告されていた“あまりに酷い拷問のリアル”
NEWSポストセブン
新宿の焼肉店で撮影された動画が物議(左は店舗のInstagramより、右は動画撮影者より提供)
《テーブルの上にふっくらとしたネズミが…》新宿・焼肉店での動画が拡散で物議、運営会社は「直後に殺処分と謝罪」「ねずみは薬剤の影響で弱って落下してきたものと推察」
NEWSポストセブン