芸能

いい写真には撮られた本人すら気づかぬ微妙なエロスがある

写真家・野村誠一氏のポリシーとは?

 写真家・野村誠一氏は、宮沢りえ55万部、南野陽子42万部、西田ひかる40万部などベストセラー写真集を連発してきた。ウィーンで行なわれた西田ひかるの撮影エピソードもスケールが大きい。

「年末のクリスマス特集を雪景色で撮りたいねという話になったんです。ちょうどその時、ウィーンで雪が降っているというニュースがテレビ画面に流れていたので、すぐにチケットを手配して3日で往復。現地滞在は半日という強行軍でした」

 撮影ではマジックを見せる彼にも思わぬ失敗談がある。1990年代後半芸能界を席巻したのが、「モーニング娘。」。そのメンバー・安倍なつみとの想い出である。

「5人のメンバーを連れてサイパンに行ったのですが、彼女と2人になった時に『ナッチが一番魅力的だよね』とつい口にしたら、それが同行していたテレビ番組で放送されて後から実に困ったことになりました(笑い)」

 それでも1999年に発売された写真集『ナッチ』は10万部の売り上げを記録した。

 野村氏の撮影はまるでムービーのように流れの中で行なわれる。被写体は蝶のように軽やかで自由に動き、卓越した彼の技術がピントを合わせ続ける。36年にわたってグラビア界の第一線を走り続ける野村氏は、自らのポリシーをこう明かす。

「僕は女の子のためにきれいな写真を撮っているけど、写真を見てくれる男性読者が興奮するかどうかも計算しています。いい写真とは、撮られた本人すら気づかない微妙なエロスを取り込むこと。そのためには、僕自身がファインダー越しに興奮することが重要。そのポリシーはこれからも決して変わることはありませんね」

※週刊ポスト2016年5月20日号

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