ビジネス

企業を改革した経営者 孫正義、小倉昌男、盛田昭夫が上位

4位に入った孫氏(ソフトバンクHPより)

 東芝の不正会計、シャープの買収、セブン&アイのお家騒動や三菱自動車の燃費偽装などを通じて、経営者のリーダーシップやマネジメント能力が改めて問われている。そこで、『週刊ポスト』では、経営評論家、経済ジャーナリストなど21人と匿名の経済記者数人に、故人を含めて「彼こそ名経営者」といえる人物を挙げてもらった。

 その結果、圧倒的な得票数で1位に輝いたのは、松下幸之助(パナソニック創業者/1894~1989)、2位は土光敏夫(東芝元会長/1896~1988)、3位は本田宗一郎(本田技研工業創業者/1906~1991)だった。

 上位3人が日本の経済成長を支えた経営者だったのに対し、4位と5位には「改革者」がランクインした。4位には初めて「現役」が登場。孫正義・ソフトバンク会長だ。経済ジャーナリスト・高橋篤史氏が語る。

「彼の凄いところは、会社が潰れるほどの大きな投資を何度もやってきて、それを成功させている点。並の経営者ではそこまでのリスクは取れません」

 しかも経営者として、さらに大きく成長し続けているという。

「最初の頃は買った会社の経営に深入りせず、最後は売ってしまっていた。しかし日本テレコムやボーダフォン、ソフトバンクモバイルなどでは買収後、経営に深くコミットして実績を上げてきた。ひと皮もふた皮も剥けた、日本屈指の経営者になったその成長スピードは名経営者たちのなかでも群を抜いています」(高橋氏)

 5位の小倉昌男・ヤマト運輸創業者(1924~2005)は、運輸省(現・国土交通省)と対立しながら運輸業界の規制を破り、宅配便サービスを築いた。

「小倉さんがいなければ、いま存在しないビジネスは山ほどあります。アマゾンや通信販売市場だって、宅配便がなければ存在しえなかった。普通の経営者なら『ルールだからしょうがない』と割り切るところを、彼は『ルールがおかしい』と正論で突き詰めたところが凄い」(経済ジャーナリスト・磯山友幸氏)

 6位はソニーの創業者・盛田昭夫(1921~1999)である。技術畑の井深大(1908~1997)と二人三脚で革新的な製品を次々に世に送り出し、「世界のソニー」を築き上げた。

「いまの経営者はまず日本で成功した後に世界展開を考えますが、盛田はソニーが中小企業の頃から世界展開を見据えていた。

 また、ブランドという言葉が一般化する前からブランド力を大切にした。アメリカで他社ブランドでのラジオ販売を断わったことがその象徴です。SONYの4文字にプライドと責任を持ち続けたことが、世界のソニーにつながった」(『月刊BOSS』編集委員・関慎夫氏)

※週刊ポスト2016年5月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン