では、もしもの時のためにこの「全国地震動予測地図」を役立てるにはどうすればいいのか。ネットで自宅や職場のある場所の地震発生確率をピンポイントで知る方法があるので紹介しておこう。
防災科学技術研究所が提供している「J-SHIS地震ハザードステーション」(http://www.j-shis.bosai.go.jp/)というサイトにアクセスし、自宅や職場の住所を入力すれば、そこで30~50年以内に震度5弱~6強以上の地震が起こる確率を調べることができる。武蔵野学院大学特任教授で地球物理学者の島村英紀氏が指摘する。
「自分が住んでいる地域の地震発生確率を把握しておくことは極めて重要です。大地震に襲われる前から、家族や職場の人間たちと『いざという時にどういう行動を取るべきか』を話し合っておく。
大地震が都心で起こると携帯電話が通じなくなり、交通機関もストップして、400万人の帰宅困難者が出ると予想されている。連絡がとれなくなった時の集合場所も決めておいたほうがいい」
「全国地震動予測地図」を地震に備えるきっかけに活かしたいものだが、無論、この地図も決して万全ではない。島村氏が続ける。
「発生確率が低い地域の人も油断は禁物です。現に発生確率が7.6%だった熊本で大きな地震が発生したのですから」
6月16日午後に北海道で起きた地震では函館市が最大震度の6弱を記録したが、函館市の発生確率は3.2%という低いものだった。どこの地域でも大地震に襲われる可能性があることを、肝に銘じておかなければならない。
※週刊ポスト2016年7月1日号