芸能

佐藤浩市 瑛太に「お前は今、そこにいるのか」と嬉しくなる

映画『64』にも主演する佐藤浩市

 芝居を習っていないという佐藤浩市は、撮影現場でメソッドを教わる日々だったという。映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』から、芝居を勘違いして遠回りした若き日の思い出と、それで見えてきた景色について語った佐藤の言葉をお届けする。

 * * *
 佐藤浩市は1983年、相米慎二監督・緒形拳主演の映画『魚影の群れ』に出演している。

「夏目雅子さんと砂浜で会話する場面から初日は始まったんだけど、『はい、もう一回』で稽古やってまた『はい、もう一回』それで最後は『やめよう』と言われて初日はカメラが回りませんでした。もう凹みました。

 このやり方がダメだったら次は何をやろうかとなるわけです。セリフを変えたり毎回アクションを変えながら『OK』をもぎ取った。それで毎回芝居を変えるようになったんですよ。

 緒形さんと初めて喫茶店で会うシーンでも、何度もNGが出て。それで、喫茶店のトイレに入って『ここから始めます』って監督に言って。緒形さんが店に入ってくと僕がトイレから出てきて『いらっしゃい』と言う。そこで初めて『OK』になりました。で、『そうか、こっちなんだな』と思った。今思えば浅はかなんですが、奇をてらった芝居をすればいいと考えたんです。

 相米慎二が唯一僕に演出したのは、死ぬ場面でした。『お前、なに死ににいってるんだ』って。ハッとしましたね。台本を読めば死ぬって分かっているわけじゃないですか。あらかじめ死ぬと思っているから、こっちは死ににいくんですよ。でも、そうじゃない。僕の演じる俊一という男は死のうとはしてないんです。でも死んじまう。そう思ったことが、ホンの読み方のヒントになりました。
 
 自分では結末を分かっている、何が起きるかを分かっている。それを前提にして芝居してはいけないということです。まず、その前提を捨てることなんですよね」

関連記事

トピックス

オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
驚異の粘り腰を見せている石破茂・首相(時事通信フォト)
石破茂・首相、支持率回復を奇貨に土壇場で驚異の粘り腰 「森山裕幹事長を代理に降格、後任に小泉進次郎氏抜擢」の秘策で反石破派を押さえ込みに
週刊ポスト
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
2020年、阪神の新人入団発表会
阪神の快進撃支える「2020年の神ドラフト」のメンバーたち コロナ禍で情報が少ないなかでの指名戦略が奏功 矢野燿大監督のもとで獲得した選手が主力に固まる
NEWSポストセブン
ブログ上の内容がたびたび炎上する黒沢が真意を語った
「月に50万円は簡単」発言で大炎上の黒沢年雄(81)、批判意見に大反論「時代のせいにしてる人は、何をやってもダメ!」「若いうちはパワーがあるんだから」当時の「ヤバすぎる働き方」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
“トリプルボギー不倫”が報じられた栗永遼キャディーの妻・浅井咲希(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》女子プロ2人が被害妻から“敵前逃亡”、唯一出場した川崎春花が「逃げられなかったワケ」
週刊ポスト
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン