針間:そういえば、ご主人の後を継ぐため、主に法学部に進学する文I(文科I類)に行くというお子さんはいなかったんですか?
佐藤:いませんでしたね。実は、私が夫に「弁護士になれ」とか「弁護士は楽しいぞ」なんて言わないでほしいと口を酸っぱくしてお願いしていたんです。子供たちの可能性を狭めるかもしれないと思って。だって子供たちに、音楽やスポーツの才能があるかもしれないから。
針間:ちょっと待ってください。逆にそれ、子供の「弁護士になろう」っていう可能性を狭めていません? 佐藤さんのお話を聞いていると、「○○させた」とか「○○してあげた」という発言が多いですよね。親が完全に主導権を握っている。受験はあくまで自分が主体じゃないと。
佐藤:子供のために“○○してあげたい”と思う気持ちは親心としてみんな持っていると思います。特に受験って、多くの人は人生で高校や大学の入学のために2回は経験するものですよね。みんな苦しんでいるわけですよ。だから、苦しまず、楽に、楽しく、必ず合格する方法があるならそれを教えてあげたい。
それともうひとつ、子供を育てる時に何より意識したのが「平等」。お兄ちゃんにしてあげたことは、必ず弟にもしようと決めていたんです。
針間:その“足並みを揃える”というのも、なんだか人間としての大切な何かを、まとめられちゃっているんじゃないかなという違和感がありますね…。
※女性セブン2016年7月21日号