芸能

永六輔さん 立川談志とケンカしていようぜと暗黙の了解

立川談志さんとは“犬猿の仲”といわれていた

 テレビ黎明期から長きにわたって活躍した永六輔さん(享年83)がこの世を去った。その日は七夕で、「お先に失礼!」というように永眠したという。

 永さんは著書『永六輔のお話し供養』(小学館)の冒頭にこう書いている。

《人の死は一度だけではありません。
最初の死は、医学的に死亡診断書を書かれたとき。
でも、死者を覚えている人がいる限り、その人の心の中で生き続けている。
最後の死は、死者を覚えている人が誰もいなくなったとき。
そう僕は思っています》(以下、《》内は同著より引用)

 死者に対する優しいまなざし。永さんは同著の中で、大切な人の人となりや思い出を綴り、それを「供養の手紙」として遺している。

《私生活を秘密にする人でした。スターになってからはどこに住んでいるのか誰も知らなかった。でも、我々の世代は、世間に顔を出すのは恥ずかしいことだったの。だから、自分の家の前に黒塗り(ハイヤー)を乗りつけたりしないんです。家の少し手前か少し通り過ぎてから降りる》

 永さんより5才年上だった渥美清さん(享年68)のエピソードだ。焼け野原の戦後の東京で、10代の頃に2人は出会っている。

《僕が住んでいる家の道路隔てた斜め向かいに、渥美ちゃんが住んでいたこともあったの。その頃は朝食も夕食も僕の家で食べていた》

 永さんは死後16年経って、初めて渥美さんのことを書いたという。理由は《それほど親しかった仲》だったから。

《「君は日本の芸に近づきつつある。でも、まだ学ぶべきことはいっぱいあるよ」
歌手の坂本九と会うたびに、僕はよくそんな言葉をかけ続けました。彼があるテレビ番組で人形劇のナレーションをしていたのを聞いたときからです。講談の世界の語り口調でそれが上手だった。単なるアイドルや流行歌手として終わって欲しくないと思いました》

 坂本九さん(享年43)の代表曲『上を向いて歩こう』は永さんが作詞を手がけた。顔を合わせるたび、永さんは坂本さんを叱咤激励した。若くしてスターになった坂本さんが、虚しさや孤独感に苛まれないか、いつも心配していた。

 その矢先だった。1985年8月12日、坂本さんを乗せた日本航空123便が、御巣鷹の尾根に墜落した。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン