スポーツ

相撲協会「新旧権力闘争」の渦中にキーマン2人が怪死

相撲協会「新旧権力闘争」の渦中に怪死事件

「あまりにタイミングがよすぎる……」──部屋付き親方の1人は、そう声を潜めた。

「この3月に貴乃花親方と理事長選を争って勝利した八角理事長(元横綱・北勝海)は、北の湖・前理事長時代に顧問として相撲協会の事務を取り仕切ってきた『K氏』について、前体制下で協会への背信行為や不正があったのではないかと見て、調査を進めているんです。

 そのK氏の過去を炙り出していく上で、内情を詳しく知るとみられていた関係者の1人が、自殺してしまったのです」

 追及の対象となっている「元顧問・K氏」は、現役力士のキャラクターを使ったパチンコの新台を製作するライセンス契約を巡って、2012年にメーカー関係者から裏金を受け取っていた人物だ。協会の顧問という立場で裏金を受け取る現場を収めた動画を本誌がスクープしている(週刊ポスト2014年1月24日号)。

 北の湖理事長体制下では「受け取った金銭は返したから問題ない」として不問に付されていた(渡した側のメーカー関係者は返還を否定)が、八角理事長(元横綱・北勝海)体制が発足した後に、協会内ではそれを再び問題視する動きがある。

 そうした流れのなかで亡くなった「関係者」とは、東関部屋に所属する三等床山(力士の髷を結う役割)を指す。

 6月3日、34歳で自ら命を絶ったその床山のイニシャルは、奇しくも元顧問と同じ「K」だ。別のある親方は、呻くようにこう漏らす。

「床山・Kは、自宅で首を吊って亡くなった。協会側は『うつ病を患っていた』と説明していますが、本当にそうなのか。だって、これじゃあ大鳴戸事件とそっくりですよ」

──20年前の1996年4月14日、元大鳴戸親方(元関脇・高鐵山)が、入院していた愛知県内の病院で重症肺炎のため急逝した。

 大鳴戸親方は当時、本誌が展開していた「角界浄化キャンペーン」の重要な告発者だった。

 八百長の実態や力士のマリファナ疑惑、巡業を巡る乱脈経理など、多岐にわたる問題を告発する手記を寄せていた。死の2週間後には、日本外国特派員協会で角界の暗部について語る講演も控えていた。

 しかも、大鳴戸親方が亡くなった同日、同じ病院内で、告発に協力していた有力後援者の橋本成一郎氏(元北の富士後援会副会長)も、親方と同じ重症肺炎で息を引き取ったのだ。

 角界の暗部を知るキーマン2人が同時にこの世を去る「怪事件」の真相は、今もヤブの中だ。今回の「床山・K」の死は、この大鳴戸事件を彷彿とさせるのである。

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン