国内

生前退位 ここまで陛下を追い詰めていたと国民気づく

『天皇論』の著者である小林よしのり氏

 国民に大きな衝撃を与えたNHKによる「生前退位」報道は、皇室を研究してきた識者らにとっても激震だった。『天皇論』(小学館)を著わした漫画家・小林よしのり氏と『皇室典範と女性宮家』(勉誠出版)などの著書がある法学者・所功氏が感じた、天皇の強い意志とは──。

小林:あのニュースが出たときはちょうど外出中で、いろんなメールがどんどん来るからびっくりして見たら、「生前退位」という言葉が並んでいたんです。生前退位となれば、皇室典範にその規定がないことは知っていたんですよ。これはとんでもないことをやってしまわれたのではないかと、身震いしました。

所:率直に申せば、陛下は悲鳴をあげておられる、それが聞こえてきたのだと感じました。いつまでも今まで通りにできるはずと、多くの国民から期待されるなかで、それが叶わなくなれば象徴天皇の機能不全に陥ってしまう、現行の皇室典範に則ってやろうとしても、できない状態を迎えておられる。そうした陛下の実情とご意向を知り得る立場にあった近くの方が、信頼できるNHKを通じて漏らしたということでしょうか。

小林:陛下自身の発言となると、政治的発言で憲法違反と批判される可能性が高いですからね。

所:ああいう形しかなかったのでしょうね。ここまで陛下を追い詰めていたのかと、国民ひとりひとりが気づかされたはずです。

小林:今回のことで、陛下は本当に疲れておられる、陛下のお望みのことをしてあげるべきだと、ここはようやく国民の合意が取れたと思うんですよ。

 陛下が譲位すれば当然、皇太子殿下が天皇になられる。すると、現行の皇室典範では天皇の直系男子しか皇太子になれないため皇太子が不在になるという問題や、結婚適齢期を迎えられる眞子さま佳子さまのために女性宮家をつくらなくていいのか、天皇の直系にあたる愛子さまはどんなお立場になるのか、といったさまざまな問題を同時に考えるしかなくなる。

 これまで皇室典範改正問題は何度説明しても理解してもらえなかったのが、陛下の生前退位によって一気に国民的関心事になった。わしのブログがアクセス多すぎてパンクしたくらいだから(笑い)。そのアイディアは見事と言わざるを得ません。

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン