スポーツ

角居勝彦調教師 競走馬の育成に大きく影響するセレクトセール

セレクトセールが与える影響とは

 1998年から始まった日本競走馬協会が主催する世界有数のセリ市「セレクトセール」。サラブレッド流通の活性化を目的とし、上場される競走馬を厳選していることから「セレクト」の命名がある。今年は7月11、12日の2日間にわたり北海道苫小牧市のノーザンホースパークで開催された。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、セレクトセールについてお届けする。

 * * *
 ホースマンにとって、セレクトセールの位置付けはとても重要です。

 かつて主流だった馬主サイドと生産者サイドが直接交渉する「庭先取引」では、新規の馬主さんが良い血統の馬を入手することは難しかった。それまでの付き合いの深さなど、暗黙のルールが介在したためです。しかしセレクトセールは外国人の馬主さんでも参入しやすく、人的コネクションに乏しくても主催側が調教師を紹介してくれる。オープンかつフェアな空気で多様性が増し、業界の活性化に貢献しています。

 さらに、競走馬の育成に大きく影響しています。

 この時期に行なわれるおかげで種付けが早くなった。当歳馬は大きく成長している方が高く売れるので、通常は3月4月に出産するところを、1月2月に早めるようになった。そして7月の晴れ舞台で輝く馬体を披露するために、栄養管理や昼夜放牧のシステムが発達しました。

 昔はクラシックに間に合うように初期調教を始める感覚だったのが、多くの事柄が3か月ほど前倒しになってきたわけです。ダービーの翌週から新馬戦が行なわれるようになったのも、無関係ではない。競馬界はセレクトセールを起点にして動いているといっていいかもしれません。

〈初日は1歳馬、2日目は当歳馬が合わせて543頭上場され、売上総額は149億4210万円。これまで最高だった昨年の131億7350万円を上回る史上最高となった。1億円以上の落札馬は23頭で、最高額は当歳馬「イルーシヴウェーヴの2016」と「マルペンサの2016」(ともに牡、父はディープインパクト)の2億8000万円だった。〉

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン