国際情報

債務残高2600兆円 借金大国中国の危機は日本のチャンス

 中国の経済実態は、発表と現実がかい離していて本当のところがわからないと言われるが、最近、よく言われるのは経済危機を迎えつつあるということである。経営コンサルタントの大前研一氏が、中国の危機は日本にとってどんな意味があるのかについて解説する。

 * * *
 いま中国では、習近平国家主席と李克強首相の間で、経済政策をめぐる対立が激化しているという。
 
 国有企業保護政策を維持して権力掌握を進めたい習主席に対し、李首相が「ゾンビ企業(経営の行き詰まった国有企業)の淘汰」など「痛みを伴う構造改革」を提唱しているからで、習主席の側近が「今年前期の景気は良好」とする李首相の見解を真っ向から否定し、「(このままなら)中国経済は『V字回復』も『U字回復』もなく『L字型』が続く」と痛烈に批判したと報じられたのである。

 この景気判断については習主席のほうが正しいと思う。たとえば、今年6月に中国社会科学院の学部委員で国家金融・発展試験室の理事長を務める李揚氏が「2015年末の時点で、中国の債務残高は168兆4800億元(約2600兆円)で、GDP(国内総生産)の249%に達し、うち企業分が156%を占める」と発表した。

 発言の趣旨は、中国の債務はコントロール可能な範囲で、債務リスクに対応するための十分な資金があることを理由に「債務危機は存在しない」と強調するものだったが、この数字は経済規模が違うとはいえ日本の借金1000兆円の2.6倍だから、やはり寒気がするような規模である。

 李氏は「借金より資産のほうが多い」から安心と言うが、実は中国の借金が正確にはいくらあるのか、誰もわかっていないと思う。

 中国の借金には、大きく四つの要素がある。「国営企業」「民間企業」「地方政府」「国」である。249%のうち企業分が156%ということは、地方政府と国が残りの100%近く、という計算になる。

 だが、すでに本連載で指摘したように、これまで地方政府の富の源泉だった農地を商業地や工業団地に用途変更して利益を得る不動産開発やインフラ整備などの投資プロジェクトはことごとく行き詰まり、地方政府は莫大な借金を抱えて収拾がつかない状況に陥っている。

 おまけにアリババ(阿里巴巴)などのネット通販隆盛の影響で多くのショッピングモールはテナントが入らなくなって「鬼城(ゴーストタウン)」化しているため、地方政府が商業地などの開発によってけるという従来の仕掛けは、もはや機能しなくなっている。

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン