屋内外とも分煙化が進む東京でさらなる規制強化は必要か


 では、先般行われたリオ大会はどうだったのか──。そもそもブラジルはオリンピックの有無にかかわらず、1996年にブラジル連邦法、2009年にサンパウロ州条例が制定され、レストランやバーを含めて屋内完全禁煙化が徹底されてきた。

 五輪期間中も街中の飲食店が灰皿を隠れて提供していないか抜き打ちの立ち入り検査が行われたが、「地元住民が誰も店内で吸わないので、スモーカーの外国人もわきまえていた」(五輪観戦の日本人)という。

 その代わり、一歩屋外に出れば喫煙は基本的に自由なため、路上喫煙や歩きたばこをする光景があちこちで見られたという。テニスや水泳、レスリングなどいくつもの競技場が集まるバッハ地区で取材していた日本人記者がいう。

「オリンピックパーク内は室内は禁煙、室外でも注意喚起をする張り紙が見られました。にもかかわらず、わざわざ敷地外まで出て吸うのが面倒なのか、張り紙の前で堂々と吸う“確信犯”の外国チーム関係者もいました。

 喫煙可能な敷地外の路上では、最寄り駅から会場に向かう人混みの中で歩きたばこをして、平然とポイ捨てする外国人も多数見受けられました。そんな状況ならば、わざわざパーク内と外を隔てず、屋外であれば指定の喫煙場所をいくつか設ければいいだけではと思いました」

 リオ市内にも、灰皿が設置された喫煙スペースはあるが、メイン通りに数多くある公共のゴミ箱には、入口にたばこの火種を消す鉄板がついており、そこにゴミも吸い殻も一緒に入れる人がほとんどだという。それは衛生面や安全面で決して参考にすべきものではないだろう。

 さて、こうした他国開催の状況(※表参照)を踏まえ、東京五輪は訪れる世界中の人たちに、どんなたばこルールやマナーを啓発していくべきなのか。

 新都知事の小池百合子氏は受動喫煙防止の観点から、〈何らかの制度を主催都市の責任でやるべき〉と発言しているが、オリンピックのためだけに屋内・屋外ともに分煙が進む「東京スタイル」を崩すような規制を急ごしらえで設けても、かえって混乱を招くだけだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン