◆ゴシップを扱わないことで信頼を得ている
そこには赤旗編集局におけるテレビ・ラジオ部や学術・文化部、スポーツ部、日曜版編集部の存在がある。赤旗は政党機関紙でありながら一般紙を購読しなくても間に合う総合新聞のスタイルを取っている。そのため「文化・芸能やテレビ・ラジオ欄にも力を入れている」(若手記者)。
担当する記者はベテランが多く、テレビ局や芸能プロダクションとのパイプも確立していて情報を得やすいという。そうした活動が、映画の主役級タレントの単独インタビューなどにつながっている。
ポイントは、「政党機関紙」という点だ。紙面で芸能人のゴシップやスキャンダルには一切触れない。
大手芸能事務所関係者は「スポーツ紙や週刊誌のように一方では持ち上げて、一方ではスキャンダラスに取りあげることがないから、安心してタレントを出せる」という。
しかも文化的観点から語るページがあるため、芸能人本人からも好評だ。かつて森光子は芸術論を語れる赤旗を気に入り、担当記者とも良好な関係を築いていた。そのためか日曜版の創刊45周年、50周年などの節目にコメントを出していたほどだった。
党員でない芸能人や事務所は赤旗への登場で、政治色がつきイメージダウンになることを嫌うのではないか。
「事務所に入社したての頃は『赤旗?』と訝しんでいましたが、私も業界に馴れて少し考えが変わりました。とくに日曜版は100万部媒体ですからプロモーションとして割り切れば良い取引相手です」(別の芸能事務所のマネージャー)
AKB48や藤原紀香らビッグネームが出たことで、“前例主義”の芸能事務所側でも出しやすくなったという側面があるだろう。
むろん、赤旗サイドにも、旬の芸能人やスポーツ選手が紙面に登場することで購読者を増やし、一般への共産党アレルギーを薄めようという狙いがあることも透けて見える。ひいては党員獲得につながるとすれば、芸能事務所とのパイプ作りを怠らない赤旗の担当部署は、しっかり党に貢献しているということか。
※SAPIO2016年10月号