9月は5月病のようにメンタルの変調を来す時期という。秋から冬にかけての「季節性うつ病」と呼ばれる症状もある。うつの人とどう関係を結べばいいのか。コラムニストのオハダカズユキ氏が体験的に語る。
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「5月病」は広く知られているが、同じような内容を意味する「9月病」という言い方もある。夏の体力消耗、季節の変わり面の身体的ストレス、職場環境の変化の疲れなどで、メンタル不調が起こりやすい時期なのだ。
秋から冬にかけて、気分が落ちこみ、どうにもこうにもならなくなる「季節性うつ病」と呼ばれる症状もある。涼しくなって過ごしやすくなるのは元気な人で、気温の低下と共にふさぎこんでしまう人もいるわけである。
コミックエッセイ『ツレがうつになりまして。』の出版が2006年、映画化が2011年。行政の後押しもあり、およそこの10年、20年でずいぶんと啓発活動が進み、うつ病への偏見が減り、症状の自覚のある人が精神科や心療内科のクリニックを受診しやすくなった。
クリニックに関しては、あまりにも急激にその敷居が低くなって、安易に受診する人も増えたことから、「精神科バブル」を指摘する医療関係者も少なくないほどだ。
だが、そのいっぽうで、実際に身近な人がうつ病と診断されたり、疾患が危惧されたりした場合、はたして当人と周囲がうまく関係をつくれているかというと、まだまだなのが現状だと思う。
たとえば、「うつ病の人に、頑張れ、と言ってはいけない」という件。
この“常識”は、「うつ病は心の風邪」という喩えと同じくらい万人の知るところとなっている。しかし、「うつ病は心の風邪」が「風邪くらいなら簡単に治るだろう」という誤解も生んでしまったように、「頑張れ、と言ってはいけない」のほうにもけっこう弊害がある。
うつ病患者は基本的に、仕事や人間関係の困難に対して頑張り抜いた結果、疲弊してしまって、身体が言うことをきかなくなっている。そんな「頑張りすぎで病気になった人」に、「頑張れ、頑張れ」と励ますことが問題なのは言うまでもない。
ただ、「頑張れ、と言ってはいけない」の常識化で、職場などにうつ病患者やうつ病っぽい人が出た際に、当人とどう接していいのか周囲がわからなくなって、結果的にその人をみんなで遠ざけてしまう事態がよく起きている。