事務所関係者が筆者にみせてくれたのは、半裸の状態でカメラに向かい、卑猥な言葉を発しているM子の動画だった。名前こそ偽名だったが、紛れもないM子の姿。その偽名で検索すれば、M子の動画が少なくとも十数カ所のアダルトサイトに転載されて、今なお閲覧も、ダウンロードも可能な状態にあった。

「M子の解雇だけで済めば御の字。M子がモデルを勤めていたブランドなど、クライアントに知れ渡ると、M子に損害賠償をする可能性も否定出来ない。気の毒だとは思いますよ。たった一回、ライブチャットをやってしまったというだけで、あらゆる可能性の道が閉ざされる。でも仕方ない」

 前述のライターは、M子のように、気軽にライブチャットに参加する若い女性が増え続けている事を指摘した上で「デジタルタトゥー」被害が拡大するシステムについて説明する。

「風俗や水商売に比べ、ライブチャットは安心という間違った意識が女性にある。パソコンの前で下着になったり脱いだりしても、相手方がそこにはいないからです。しかし、相手方がその映像を録画している場合がある。違法に録画された映像は、そのまま”商品”となり、違法に運営されているアダルトサイト上で売買されます。このように違法が違法を呼ぶ状態に陥れば、様々なサイトに動画は転載され、回収も削除も、事実上不可能になる。永遠に、彼女達のあられもない姿がネット上を漂流し続ける事になるのです」

 さらに、アダルトビデオ制作会社幹部は、この問題が”チャットレディ”だけに限られた話ではないと分析する。

「以前は”ビデオやDVDだから、顔バレの可能性は低い”と、出演者女性は考えていました。しかし現在は、サンプルなど公式のものから違法な海賊版まで、アダルトビデオのほとんどがネット上で閲覧出来ます。一度出てしまえば一生残る、まさに”デジタルタトゥー”なんです」

 件の慶應のミスコン候補女子大生を始め、某有名アイドルや現役タレントなど、遠い過去のたった一度の過ちをネット上で掘り返されることにより、実生活はおろか、人間の尊厳までを毀損され続ける日々を甘受せざるを得なくなっている。彼女達がここまで執拗に追い込まれるのはやむを得ない事なのか。筆者には異常としか思えない。

 M子は事務所を解雇されると、職場も辞め、逃げるように実家に戻り、ひっそりと生活している。髪型も服装も、あえて自らの趣味に合わないようなスタイルにして、外出時にはマスクが欠かせない。医師からは「脅迫性障害」と診断され、まともに働く事も出来ないでいる。

「常に誰かに後ろ指を指されている気がします。いや、実際に私の映像は今も誰かに見られている。このまま一生まともな生活が出来ないのではないか」

 複数のアダルトサイトには、今日も新たな”ライブチャット”映像が違法にアップロードされ、中には児童ポルノや盗撮とおぼしき映像もまでもが散見される。サイトのサーバーが海外にある場合も多く、日本の司法がなかなか取り締まる事が出来ない事も、被害拡大の原因となっている現実がある。これといった対策が無い以上、今起きている悲劇を徹底的に周知させ、被害者になり得る人々への啓発を行う以外に手段はないだろう。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン