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ヤクザ界の「クオリティマガジン」実話3誌 その取材体制

実話系週刊誌の取材体制は?

 9月29日、神奈川県横浜市内の高級中華料理店で、日本最大の指定暴力団・六代目山口組の司忍組長と、関東の有力団体である住吉会の関功会長、稲川会の清田次郎会長との“3トップ会談”が開かれた。

 これだけの大物が一堂に会したのは各団体が結成されてから初めてのこと。極秘扱いだった会合場所にはテレビや新聞といった主要メディアの姿はなかったが、『週刊アサヒ芸能』(以下アサ芸)、『週刊大衆』(以下大衆)、『週刊実話』(以下実話)の実話系週刊誌(以下実話誌)のヤクザ担当者らは、いち早く現場に陣取り、カメラのファインダーを覗き込みながら組長らを待ち構えていた。

 翌週号で3誌とも極秘会談を大々的に報じ、大手メディア関係者を驚かせることになるが、その内幕を実話誌関係者がこう明かす。

「会談の開催情報は、事前に各誌の担当者に“主催者”側から連絡が入っていました。選抜された代表カメラマンが建物の中で写真撮影ができました。その写真は共有されています。3誌に掲載された会食時の写真が、ほぼ同じカットなのはそのためです」

 山口組が分裂して以降、3誌は1年以上にわたって毎週特集記事を掲載。「一般読者はもちろん、ヤクザや警察関係者まで手にとってくれています。分裂から半年間ほどは3誌とも売上部数が2割ほど伸びた」(同前)という。暴力団関係者までが実話誌を熱心に読む理由を山口組関係者はこう語る。

「情報の正確性という点で実話誌は群を抜いている。末端の組員らは、組織の人事情報などを実話誌で確認しているほどだ。他組織の動向もわかるので、我々にとって実話誌は官報や業界紙並みに有益な情報源でもある」

 まさに“ヤクザ界のクオリティマガジン”なのだ。しかし、山口組は五代目時代から「メディアとの接触禁止」を謳う。どうやって情報を取るのか。取材体制は各誌で異なる。

 アサ芸は、「記者とカメラマンの2人で取材に当たるのが基本」(同誌関係者)だといい、大衆は「六代目山口組情報に強いベテランのライターがカメラマンも兼任し、取材している」(同誌関係者)という。

 一方、実話は記者や編集者ら数人のチーム編成で臨んでおり、「関西常駐のフリー記者も配置している」(同誌関係者)という力の入れようだ。

 こうした体制で、情報統制が厳しさから“菱のカーテン”と呼ばれる山口組の内部事情を探るのである。

「週に何日も神戸の本部前に張り込んで、出入りする組長などに“おはようございます”と挨拶して顔を覚えてもらうことから始まります。定例会や餅つき、事始めなどの行事があるたびに取材に駆け付け、徐々に信頼関係を構築して初めて、口を開いてもらえるようになる」(実話誌ライター)

 組関係者から直に情報を得る以外に“ヤクザ記者クラブ”が情報収集に一役買うこともあると話すのは、暴力団に詳しいジャーナリストの鈴木智彦氏である。

「1984年に勃発した山一抗争時代から山口組を取材し続けている大ベテランのヤクザライターらを中心に情報はみんなで共有する。ヤクザライターらのメーリングリストまであります。その“記者クラブ”で入手した情報は、メンバーに回る仕組みになっていて、ヤクザ記者たちの秘密の情報共有ツールになっています」

※週刊ポスト2016年10月28日号

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