第2点目について、記事は「第二に、草案で天皇の地位を『元首』に昇格させることは明仁天皇が在位28年間に模索してきた国民と苦楽や禍福を共にする『象徴天皇』の位置づけと逆の方向に進むものだ」としているが、憲法が改正されていないにもかかわらず、改正憲法における「元首」の地位がどのような性質のものなのか、馮記者は熟知しているのだろうか。たんに戦前の大日本帝国憲法における元首と同じ、と想像しているだけなのではないか。

 記事は最後に、陛下の生前退位の意向により、皇室典範の改正が国会で審議され、長い時間がかかることが予想されるとしたうえで、「安倍政権の本来の構想である憲法改正を優先的に推進するという政治スケジュールは、これでより多くの変化が生じる恐れがある。明仁天皇の初志がどのようなものであっても、安倍首相の『憲法改正の野心』に難題が降りかかったことになる」と結論付けている。

 しかし、安倍首相は現段階で皇室典範を改正するのかどうか、さらに憲法の改正についても明確に言及していない。馮記者は首相が「憲法改正の野心」を秘めていると強調するのだが、それと皇室典範の改正がどう関係するのかは不明確であり、この論調もまた憶測の域を出ない。

 北京の日中関係筋は「習近平指導部はこれまでも、ことあるごとに安倍首相の右傾化を批判するコメントを発表しており、今回の陛下のビデオメッセージについても、安倍政権の憲法改正を阻止するために政治利用しようとしている。新華社電や識者を使って世論を誘導するのは中国共産党の宣伝工作の常套手段だ」と指摘している。

※SAPIO2016年11月号

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