国際情報

天皇陛下のおことばを習近平氏がさっそく政治利用

中国メディアの「曲解」は共産党の意向を反映か Reuters/AFLO

 天皇陛下が心のうちを率直に語られた「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」と題するビデオメッセージは中国でも大きな関心を呼び、詳しく報道された。だが、その内容はおよそ客観的といえるものではなかった。ジャーナリストの相馬勝氏が解説する。

 * * *
 天皇陛下のおことばでは、「生前退位」という具体的な言葉は用いられていない。しかし、おことば全体に、今後、年齢を重ね体力が続かなくなった場合、これまで通り天皇としての務めを果たすことが困難になることを心配され、「生前退位」の実現を望まれていることが示唆されている。

 これを前提として、中国での報道をみてみると、年齢などの要素を無視して、政治的な理由をこじつけた内容が実に多いのには驚きを通り越して、憤りを感じるほどである。

 中国の場合、社会、国際、政治などの大事件や一党独裁体制に関わる思想的な出来事などの報道については、すべて党宣伝部によって管理されている。事件や出来事を報道する場合、国内外への影響が大きければ大きいほど、新聞社やテレビ局などの個別の取材は許されず、中国国営通信社である新華社電を使うように指示される。

 党機関紙「人民日報」や国営の中国中央テレビ局といった特権的な報道機関でさえも、独自取材のような形をとっていたとしても、記事自体はほとんどが新華社電の焼き直しということが多い。それほど、新華社電は党の統一見解から逸脱した報道はほとんどない。「党ののど」と言われる所以である。

 陛下のおことばについての報道でも、中国各紙はほとんど新華社電一色だった。とりわけ、8月10日付の北京市党委機関紙「北京日報」は第10面の「今日の注目」欄の1面全部で、おことばについて詳細に報道しているが、4本の記事中、3本が新華社電で、残りの1本の同紙東京特派員電もほぼ新華社電の記事内容から出ていない。

関連記事

トピックス

永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン