◆一門の“統合再編案”も
地裁が認定した春日山の年寄名跡価格1億7160万円は、バブル時代の判例に則ったもの。控訴審で時代に即した額に落ち着けば、春日山親方が証書を入手する際に貴乃花一門が資金援助に動くとみられている。
「その芽を事前に摘んでおきたい、というのが八角理事長の本当の思惑ではないか」(別の協会関係者)
処分に先立つ10月2日、川崎大師で北の湖前理事長の一周忌法要が行なわれた。
「参列したのは貴乃花一門を中心とした18人の親方衆で、北の湖の出身の出羽海一門からは玉ノ井(元大関・栃東)や木瀬(元幕内・肥後ノ海)など貴乃花を慕う若手が姿を見せた。理事長ほか協会幹部の顔がない中、K元顧問までいたのには驚きました」(後援会関係者)
この席で話題になったのは、“北の湖の遺志を継げるのは貴乃花親方しかいない”という話だったという。
「2018年1月に行なわれる次期理事選に向け、貴乃花一門と出羽海一門を統合再編して多数派工作していく構想まであるといいます。K元顧問が絡んでいるとなると現実味はある」(同前)
これに危機感を募らせた八角理事長側が牽制として動いたのが、今回の「春日山部屋消滅」事件の真相か。協会にこの時期の処分となった理由などを尋ねたが回答はなく、渦中の春日山親方を直撃しようと九州場所の追手風部屋宿舎、稽古場を訪れるも、本人の姿は確認できなかった。
※週刊ポスト2016年11月18日号