◆「1票」の奪い合い
春日山部屋にいた23人の弟子のうち12人は部屋を移ることを嫌って引退届を提出(現在は協会預かり)。残った11人は追手風部屋の「預かり」となった。
ところが、福岡市西区にある追手風部屋の稽古場にはこの11人の姿がない。春日山部屋は毎年、佐賀県にある佐嘉神社を宿舎にしてきた。急な処分で受け入れ準備が整わず、「預かり」力士たちは今場所も、こちらで汗を流している。
「協会は春日山親方のことを無免許運転と表現していますが、係争中ですから仮免状態というべきでしょう。判決が確定し、支払えない場合に初めて、協会から出ていくことになります」(前出・担当記者)
何より、4年前に先代春日山が退職して以降、協会は証書なしの部屋運営を黙認してきた。にもかかわらず突然、処分した背景には、「八角理事長vs貴乃花一門」の暗闘があるとされる。
「春日山親方の“仮免運営”を黙認してきたのは北の湖前理事長ですが、その右腕として協会を仕切っていた『K顧問』の判断が大きかった」(若手親方の一人)
K顧問とは本誌・週刊ポストが報じた「パチンコ裏金問題(※注)」で、代理店から500万円の裏金を受け取った人物だ。
【※注/力士が実際の四股名で登場する協会公認のパチンコ台契約を巡り、代理店がK氏に500万円の裏金を渡す現場の動画を本誌が報じた(2014年1月24日号ほか)。K氏は「金は返した」と説明し、協会は処分をしなかった(代理店側は返還を否定)】