最悪の事態を避けるためには、政府が“平成の徳政令”を出して国の借金を一気に減らすしかないと思う。具体的な方法は、価値が半分の新貨幣の発行である。今の1万円が5000円になるわけだ。
そうすれば、1700兆円の個人金融資産が半分の850兆円になるので、パクった850兆円を国の借金1053兆円から差し引くと、残りは200兆円に圧縮される。200兆円はGDPの40%だから、デフォルトの恐れはなくなる。そこから“生まれ変わって”仕切り直すしか、この国の財政を健全化する手立てはないと思うのである。
その場合、徳政令はある日突然、出さねばならない。そして徳政令を出した瞬間に、1週間程度の預金封鎖を発動しなければならない。そうしないと、日本中の金融機関で取り付け騒ぎが起きてしまうからだ。
当然、徳政令を出した政権は倒れるが、これは安倍首相くらい強い権力を持っているリーダーにしかできないことである。総裁任期を3期9年に延長するのは“戦後処理”まで買って出ようということだから、その覚悟の安倍首相に私は一縷の望みをかけているのだが、補正予算を連発する危機感のない弛みきった財政運営を見ていると、残念ながら、それはやはり「ないものねだり」のようである。
※週刊ポスト2016年11月18日号