「やはり、結婚すると、扱いがぞんざいになるというか、日々のことが妻に仕切られてくる。『明日は何時に行くの?』『今日の帰りは?』『夕飯はいるの?』って毎日聞かれるけれど、職業柄わからないことも多いので、不機嫌な顔をされてしまう。それから朝、新聞を読んでコーヒーを飲んでいる至福の時に話しかけてきて、生返事していると怒られる(笑い)」
そんなぼやきが続く遊川さんに、「結婚のいいところは?」と聞くと「なかなか、人を愛するのは大変な時代になってきたから…」と口ごもる。
「だって、結婚して女性が男性からもらえるものって少なくなってきている。女性は自分で稼げる時代だし、男が弱くなっていて、愛だってもらえない。実際妻からは『私はこんなに愛してるけど、あなたは?』って聞かれます。周りからはうらやましいと言われるけれど、現場は大変なんですよ(笑い)」
それでもなぜ結婚するのか。遊川さんは「結婚は契約であり、制約」だという。
「先ほど話したとおり、今は覚悟を持っている人のほうが少ない。決意とか勇気もね。でも、かといって自由だと、逆に何もできなくなるのが人間。だから自分を縛って、動けるようにしてくれるものが結婚なんじゃないかって思うんです。
結婚、夫婦という言い訳ができることで、しょうがないけどって言いながら仕事をしたりするんですよ」
自分を縛ってくれる相手が、気の合う、尊敬できる人であれば、その関係は長く続いていく。
「たとえば、うちの妻はぼくの作品を批評してくれるし、『だじゃれ』のセンスとか、感動することが共通しているんです。人に言えないくだらないことを考えていると、同じことを考えていたりする。『女性セブン』と聞いたら、ウルトラマンの歌を『セブン~♪』って口ずさむ。これって、ほかの人には絶対ないスペシャル感なんですよ。
そのなかで、嘘でも、多少お世辞でも、気を使ってでも、言うべきことを言うことが大事。言わないと絶対伝わらないですからね」(遊川さん)
【恋妻家宮本】
2017年1月28日公開。デキ婚の宮本夫妻。子供が巣立って初めて夫婦2人きりの生活が始まったことで戸惑ったりすれ違ったり…。そんな夫婦を1999年の映画『必殺!三味線屋・勇次』以来、18年ぶりの共演となった天海祐希と阿部寛がコミカルに演じる。
※女性セブン2016年12月8日号