拓殖大学国際学部教授の呉善花氏
櫻井:世界は今、劇的な変化の時を迎えています。アメリカが内向きになり、トランプ新大統領はどの国が同盟国なのかの区別さえついていないように見えます。
アメリカが後退した空白に付け入ってくるのが中国であり、ロシアです。私は、韓国は日本やアメリカの側に立たなければ健全な生き残りはできないと考えますが、盧武鉉大統領の元側近で北朝鮮シンパの文在寅(ムンジェイン)氏のような人を大統領に選んだら、韓国は本当になくなる可能性は高い。
呉:すでにその方向に動いていますね。文在寅氏は北朝鮮と一緒になって、日本やアメリカとは距離を置き、慰安婦問題や徴用工問題でさらに日本を激しく攻撃してくるでしょう。もちろんいずれも「虚構の物語」なのですが……。
盧武鉉政権は、世界の中心は東アジアに移り、その中央にいる朝鮮民族が世界をリードしていくのだと言っていました。文在寅氏も同じように韓国人の民族主義を煽り、北朝鮮との融和・統一を図っていくと思われます。もちろん中国はその隙を逃さず、朝鮮半島全体を影響下に置こうとするでしょう。
櫻井:まさに日本にとっても最大の危機です。しかし日本がどう対応すればいいのか、できるのかというと、非常に難しいですね。
呉:いくら日本側が韓国に歩み寄っても、侮日に根ざした反日民族主義は変わることはありません。私は日本はこれ以上、韓国に深入りしないほうが賢明だと思います。
●さくらい・よしこ/新潟県長岡市出身。ハワイ州立大学卒業。元日本テレビ「きょうの出来事」キャスター。1995年、『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』で大宅賞受賞。執筆・講演活動を続ける一方、インターネット放送「言論テレビ」を運営中。
●オ・ソンファ/1956年韓国済州島生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、拓殖大学国際学部教授。『「反日韓国」の苦悩』(PHP研究所刊)、『朴槿恵の真実』、『侮日論』(いずれも文春新書)など著書多数。
※SAPIO2017年1月号