芸能

真田丸 一番の仕掛けは「毎回、最終回を見せていた」演出

ついに完結した『真田丸』(公式HPより)

 今月18日に1年に及ぶ放送を終了したNHK大河ドラマ『真田丸』。全50話の平均視聴率は16.6%で、過去5年の大河作品の中で最高の数字を記録した。ネット上でもこれだけ話題を集めた大河ドラマはほかにないだろう。その面白さについて、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが総括する。
 
 * * *
 そんなわけで『真田丸』完結でロスの方々も多いと聞く今日この頃。改めて『真田丸』がこれまでの戦国大河ドラマとどう違っていたか。考えてみたいと思う。

【その1】 やっぱり後半にもあった「ちょっと出俳優陣」
 
 以前、このコラムでは「『真田丸』上半期ほぼ一話にしか出なかったがいい味を出していた」ということで、武田勝頼(平岳大)、織田信長(吉田剛太郎)、明智光秀(岩下尚史)、秀吉の妹旭姫(清水ミチコ)などの名前を挙げさせてもらったが、後半、それも最終回にちらっと面白い顔ぶれが登場した。

 幸村がいよいよ徳川本陣を急襲するというとき、やる気満々で彼を迎えた面々。全員むさ苦しく、誰が誰だかよくわからないし役名クレジットも出なかったが、よくみると博多華丸!? 実は彼らは2015年末に発表されたスペシャルムービー『ダメ田十勇士』の面々。

 最終回に出てきたメンバーは、真田愛で突っ走る六郎(矢本悠馬)、チームのリーダー忍びの才蔵(華丸)、オカマでありながら男気の持ち主鎌之介(梅垣義明)、ひねくれ者で泣き虫の甚八(岩井秀人)、歌と宴が大好きな清海入道(松村邦洋)、その弟で大食漢の伊佐入道(脇知弘)、火縄銃を使う十蔵(鈴木拓)。合言葉は「WE LOVE SANADA!」…って、十勇士なのに十人いませんけど?
 
 もちろんこれは伝説的に語られる「真田十勇士」がモチーフだが、全員がおとぼけムードなのはさすが『真田丸』流。ただし、ダメ田十勇士がお笑い一辺倒かと思ったら、意外にも無名の兵の戦の厳しさを見せる。ぐっとくるのである。スペシャルムービーの企画・脚本・監督は博多華丸主演の傑作ドラマ『めんたいぴりり』を手がけた江口カン。さすがだ。その彼らが、ドラマ本編最終回で憧れの幸村本人から「命を惜しめ」と言われる。なかなかに泣かせる演出だった。

【その2】大事件をあえて見せない

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン