ビジネス

2017年 マンションは「所有」より「賃貸」がいい5つの理由

(1)マンションの価値は建物のみ

 マンションの不動産価値は一般的に、ほとんどが建物である。一般的には土地30%に対して建物が70%、タワーマンションでは建物割合は90%程度になる。ということは、経年とともに建物は劣化するので不動産価値としては、新築分譲後は価値の劣化が早いことになる。今はピカピカでも築30年のマンションには誰も振り向かない。巨額の住宅ローンを背負っても30年後の不動産価値に想いを馳せる人は少ない。

 ちなみにマンション価格が上昇しているのも、その多くの原因が建設費の上昇にある。3年前と比較しても建設費は30%から40%も値上がりしているから分譲価格が高騰するのは単なる原価アップにすぎないことがわかる。

(2)合意形成が難しい老朽化マンションの管理組合

 マンションは区分所有であることから、建物全般に関わる意思決定をすべて区分所有者間の合意に基づいて決定しなければならない。最初は仲の良い住民でも年月の経過とともに資産格差や価値観の違いが明らかになるのが人生。永住する資産の価値を維持するのに自身の思い通りにはならないのがマンションである。

(3)リスクに弱い区分所有という所有法

 一見すると堅牢な建物で災害にも強いと考えがちなマンションだが、建物も経年劣化する。必要な修繕費も区分所有者全員がその負担に耐えられることが前提となる。また大地震などで設備機能がマヒした場合には、復旧には多くの困難が伴うことは東日本大震災でも経験済みである。

(4)分譲マンションの賃貸化が大幅増に

 賃貸マンションは、これまでは建物仕様が劣悪である、家族向け物件が少ないなどの理由から、分譲マンションが求められてきた。

 しかし、REITやファンドなどが優良な賃貸マンションを供給するようになったこと、またこれからは団塊世代などが所有していたマンションが相続などで大量に賃貸物件として出回ってくることが予想され、マーケットには良質でバラエティに富んだ賃貸マンションが低価格で多数供給されることが予想される。

(5)ライフステージの変化に適応できるのは賃貸

 現代では夫婦共働きや転職が当たり前になる中、住宅ローンで縛られた所有マンションにこだわるのではなく、それぞれのライフステージにあわせてマンションを賃借することが合理的な生活スタイルになる。

 区分所有マンションは中長期的には不動産価値を保つことが困難な資産である。パリのアパルトマンは長い歴史を持つが、かつて分譲された物件よりも、公営の賃貸アパルトマンのほうが、不動産価値が保たれ人気も高いそうだ。

 私たちはそろそろマンション所有の幻想から目を覚ます時代にきているのかもしれない。

●まきの・ともひろ/東京大学卒業後、現みずほ銀行、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産に入社。「コレド日本橋」など数多くの不動産買収、開発業務を手掛ける。2009年にオフィス・牧野ならびにオラガ総研を設立し代表取締役に就任。ホテル・マンション・オフィスなど不動産全般に関する取得・開発・運用・建替え・リニューアルなどのアドバイザリー業務を行なう。著書に『空き家問題──1000万戸の衝撃』『2020年マンション大崩壊』などがある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン
晩餐会に出席した真美子さんと大谷(提供:soya0801_mlb)
《真美子さんとアイコンタクトで微笑み合って》大谷翔平夫妻がファンを驚かせた晩餐会での“サイレント入退場”「トイレかなと思ったら帰っていた」
NEWSポストセブン
畠山愛理と鈴木誠也(本人のinstagram/時事通信)
《シカゴの牛角で庶民派ディナーも》鈴木誠也が畠山愛理の肩を抱き寄せて…「温かいご飯を食べてほしい」愛妻が明かした献身性、広告関係者は「大谷&真美子に引けを取らないパワーカップル」と絶賛
NEWSポストセブン
最新情勢をもとに東京の30選挙区の当落を予測した(時事通信フォト)
【2・8総選挙「東京1〜10区」の最新情勢】公明の連立離脱で現職閣僚が落選危機か 自民の優勢が伝えられるなか中道の前職がリードする選挙区も
NEWSポストセブン
第74回関東東海花の展覧会を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2026年1月30日、撮影/JMPA)
《雪の精のよう》佳子さま、ゴールドが映える全身ホワイトコーデに上がる賞賛の声 白の種類を変えてメリハリを出すテクニック
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせインフルエンサー、ボニー・ブルー(TikTokより)
《あなたが私を妊娠させるまで…》“12時間で1000人以上と関係を持った”金髪美女インフルエンサー(26)が企画を延期した真相に「気色悪い」と批判殺到
NEWSポストセブン
イラク出身のナディア・ムラドさん(EPA=時事)
《ISISに囚われた女性が告発》「お前たちは “奴隷” になるためにいる」「殴られ、唾を吐きかけられ、タバコの火で焼かれた」拉致された末の“生き地獄”の日々とは
NEWSポストセブン
ハナ被告の相次ぐ麻薬関連の容疑は大いに世間を騒がせた(Instagramより。現在は削除済み)
《性接待&ドラッグ密売の“第2の拠点”をカンボジアで計画か》韓国“財閥一族のミルク姫”が逮捕、芸能界の大スキャンダル「バーニング・サン事件」との関連も指摘
NEWSポストセブン
アワードディナーに初めて出席した真美子さん(提供:soya0801_mlb)
《鎖骨見せワンショルで“別人級”》大谷翔平の妻・真美子さん、晩餐会ファッションで見せたジャパン推しの“バランス感覚”【専門家が解説】
NEWSポストセブン
サンシャインシティ文化会館を訪問された佳子さま(2026年1月30日、撮影/JMPA)
《メイク研究が垣間見える》佳子さま、“しっかりめ”の眉が印象的 自然なグラデーションを出す描き方、ナチュラルなアイシャドウやリップでバランスも
NEWSポストセブン
インフルエンサーのニコレッテ(20)
《南米で女性398人が誘拐・行方不明》「男たちが無理やり引きずり出し…」メキシコで人気インフルエンサー(20)が生きた状態で発見される【生々しい拉致映像が拡散】
NEWSポストセブン