ライフ

90歳で週5日働く大手スーパー会長の「最後のご奉公」

ライフコーポレーション会長・清水信次氏(90歳)

 長生きは本当に「めでたい」ことなのか。歳を重ねれば体の不調や気力の落ち込みを実感することも増える。各界で活躍を続ける90代は、自らの“老い”とどう向き合い、折り合いをつけているのか──。

 90歳になっても早朝のラジオ体操を欠かさず、週5日、毎朝8時に出社する。食品スーパー大手・ライフコーポレーション会長の清水信次氏(90)は老いてなお矍鑠(かくしゃく)とし、口を開くと話が止まらない。あっという間に3時間をしゃべり尽くした。

 * * *
 お世話になった岸信介先生と福田赳夫先生が亡くなったのが90歳。2人とも健康にすごく気を遣われていたから、自分が同じ年齢になったと思うと感慨深い。

 僕はわりと知り合いが多いけど、卒寿のお祝いはすべて断わった。ところが、麻生太郎さんだけは「どうしてもやる」と聞かず、お祝い会を開いてくれた。彼は帽子とコートで決めたお気に入りのファッションで登場しましたよ(笑い)。

 90歳で体はボロボロです。耳は遠くなり、目は片方見えない。歯はすべて入れ歯で、転倒するとまずいから外出には車椅子を利用する。だけど、理性や精神はおかげさまで大丈夫です。頭の回転や切れ味が冴えてないと生き残れないからね。

 今も7時半に家を出て会社に行きます。この夏まで土曜も出勤してたけど疲れが出て、9月から土日休みにした。休日でもじっとしておれず、視察気分で他のスーパーに行って買い物をします。週末休むと月曜は元気です(笑い)。

 三重県の津に生まれて、戦時中は陸軍に召集されたけど何とか生き延びた。戦後の闇市で物を売るのには苦労しました。日本中が飢えていた時代、除隊時に渡された現金を元手にコメや魚を買いつけ、大阪の闇市で売ってお金を貯めました。

 仕入れの時警察に囲まれ困っているところを、農家の方に助けてもらったこともある。1950年に朝鮮戦争が始まると「これで日本が変わる」と裸一貫で上京し、占領軍の物資を買い、夜行列車で毎晩大阪に運んだ。“ひとり総合商社”でしたよ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン