「鬼を追い出してから福を招き入れるのか、福を招き入れてから一緒に鬼を退治するかの違いで、理論的にはどちらも正しいですね」(三浦さん)
◆「鬼に天敵がいる」ってどういうこと?
1月下旬になると、スーパーやコンビニに節分用の豆が並び、大々的に恵方巻の予約を受け付けている店もあるなど、全国で大盛上がりの節分だが、節分を一切やらないという人たちもいる。
「結婚して初めての節分の時、豆を買っておいたら、夫に、『うちは渡辺姓だから豆はまかなくていい』って言われました。理由を聞くと、鬼が渡辺姓が苦手だっていうんですが、どうもしっくりこないんです」(40才・主婦)
いやいや、調べてみると、ちゃんとした歴史が残っていました。平安時代中期の武将・渡辺綱(わたなべのつな)が、京都の一条戻橋の上で鬼の腕を切り落としたことから、鬼たちが渡辺一門を恐れ、子孫にも近づかなくなったという逸話から、渡辺姓の中には、鬼を退治する必要がないので節分をしない、という人もいるのだそう。
そこで、渡辺姓発祥の神社、大阪・坐摩(いかすり)神社(通称:ざまじんじゃ)にたずねると…。
「神社の創祀が約1800年前と、渡辺姓の成り立ちより早いので、そもそも神社としての節分行事はしております。ただ、全国の渡辺さんがお参りにみえて、“渡辺綱にあやかって豆まきをしない”という話はよく聞いていますよ。鬼は近寄りませんから、豆まきはいたしませんね(笑い)」(権禰宜(ごんねぎ)・田中裕人さん)
生誕の縁があるといわれる東京三田・當光寺は「渡辺綱ゆかりというよりも、うちは浄土真宗なので宗派的にしないんです。浄土真宗は、神も鬼もすべて、念仏の人を守護するという見解を持たれていますから」と話してくれた。
※女性セブン2017年2月16日号