──店の経営だけではなく、2019年に向けてマスコミで松尾さんの出番も増えそうですね。
松尾:僕は店を開店して4年間、休んだ日は数日しかないほど、ほぼ毎日店には来てる。マスコミへの出演は、今も毎週テレビの生放送があったり、4月からラジオ番組が始まったり、その他、講演会やいろんな予定が入っていて寝る暇がない日もあるけど、そういう活動を続けているのは、ラグビー界への思い入れがあってこそ。
報道が少なくなることでラグビーというスポーツを忘れてほしくないし、もっともっと子供たちに「やってみたい」と思ってもらえたらいいなと。
──松尾さんがいた新日鉄釜石は、当時、日本選手権7連覇という偉業を成し遂げました。2019年のW杯では松尾さんのような伝説に残るようなスター選手がたくさん出てほしいですね。
松尾:僕なんか体は小さいほうだったし、当時のメンバーのほとんどが高校の3軍出身のような無名選手で恵まれてなかった。でも、新日鉄に入って、他の社員と同じように仕事をしながら、日々過酷な練習メニューをこなす。僕も現場の新人研修や人事の仕事をやったりしたからね。もちろん、ラグビーをやってるからって、特別手当もないしね。
7連覇を成し遂げたのは奇跡に近かったと思うけど、それだけ皆が血のにじむような努力した結果だと思うんだ。
いずれにしても、今度のW杯は、いろんな意味で日本ラグビー界の正念場になるよね。勝っても負けても試合の内容が問われるだろうし、その後のプロ化の体制づくりも含めて、どれだけアマチュアスポーツの域を超えられるかの方向性も見えてくると思う。
──敢えて日本代表はどこまで勝ち進んでほしいですか。
松尾:ベスト4ぐらいまでいってくれたら最高だよね。勝っても負けても多くの国民に感動を与えるような大会になれば、それだけでも大きな収穫なんじゃないかな。
●まつお・ゆうじ(スポーツキャスター)/1954年東京都生まれ。小学校からラグビーを始め、1975年に明治大学を初の日本一に導く。新日鐵釜石では1979年から選手、主将、監督兼選手として社会人選手権、日本選手権で不滅の7連覇を達成。
撮影■山崎力夫